メッセージ

勝利だギューちゃん

第1話

一頭の蝶が、飛んでいる。


蝶は、死者の魂という。

もしそうなら、あの蝶は誰の魂だろう。


「私、モンシロチョウが好きなんだ」

「アゲハやオオムラサキは?」

「派手だから好きじゃない」

「モンキチョウは?」

「黄色は警戒色だから」


クラスメイトだった女の子。

モンシロチョウが、とても好きだった。


彼女曰く、「繊細ななかに、多少のしたたかさ」

そういうイメージが、あったらしい。


しかし、別れは突然。


彼女は、ある日自らの意思で、命を絶った。

遺書などはなかったが、現場の状況からして、自殺と断定された。


去る者は日々に疎し


彼女と仲の良かった友達も、やがて何事もなかったかのように、元の生活へと戻る。

そうあるべきなのかもしれない。


だが・・・


彼女の死から、何日かしてから、僕に一頭のモンシロチョウが、舞い始めた。

僕の周りを、ひらひらと舞う。


まるで、地球の周りを舞う、月のようだ。


「私は、モンシロチョウが好き」


彼女の言葉を思い出す。


このモンシロチョウは、彼女の魂なのか?

ならば、僕に何を伝えたい?


モンシロチョウは、僕の肩にとまる。

何かを、伝えたいようだ。


しかし、言葉は伝わるはずもなく、モンシロチョウはじっと僕を見る。


「・・・なのか?」


しかし、モンシロチョウは当たり前だが答えない。


その夜、不思議な夢を見た。

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