往来転移〜最弱の俺、現世界と異世界を行き来し成長する〜

イザナミ

プロローグ

 「目覚めなさい」


 聴き慣れない声が聞こえる。

 何故かその声を聞いていると懐かしさを感じてくる。


 「さすればお迎えに参ります...」




 「おい!かずと!授業中だぞ!起きろ!」


 6時間目、国語の先生の雷が落ちたかの様な

怒鳴り声が教室中へ響き渡る。


 俺は授業中居眠りをしてしまった様だ。だが何故か体中が疲れ、ひしひしと関節が痛い。まるで長距離走をした後の様だ。いや、例え方が他に無いだけであり、実際それ以上である。


 そんな疲れた中、目を覚まし先生に返事をしようとするが声が全く出ない。


 「おい!...まったく。霧原きりはら、起こしてあげなさい」


 「わっ、私ですか!?分かりました...」


 このいかにも嫌そうに俺を起こそうとしている女子の名は霧原 さくら。


 幼馴染みで近所に住んでおり、家から近いという理由だけで同じ高校に進学した。


 髪が長くクリッとした目をしており、小さいため可愛がらられモテている。


 だが、そんなさくらの唯一の致命的な短所を知っている俺からしたら全く好意など持たない。


 さくらはお風呂に3日入らなかったり、ブラを付けずに学校に来たりする。

 そう、重度の面倒臭がりなのだ。


 そんなさくらが起こしにやって来て耳元でコソコソと語りかけてくる。


 「かーくん、かーくん、起きてー。おーい」


 返事をしようにも声が出なく体を動かす事すら出来ない。これが金縛りと言う物なのだろうか。


 「かーくん起きてー。起きなさい!

 ん...え?」


 さくらが俺をゆっくり揺す出でいるのはなんと無く分かるが揺らされている気が全くしない。ゆっくりと意識が遠退いて行く...


 「先生血が!」


 さくらは血のついた両手を上げ先生に見せつけた。


 クラス中がざわざわと騒がしくなっていく。

 

 俺...死ぬのか...授業中寝ただけで?

 童貞くらい捨てたかっ...たなぁ...



 「目を覚まして下さい!」


 また聞き覚えの無い声だ。女性の声。俺を心配しているのか?


 体に感覚がある。俺はゆっくりと目を開くと、そこには金髪の胸元が妙に開いた服を着ている女神の様な女性がまず目に入った。


 「やっとお目覚めになりましたね!ライト様!」


 ライト?全く聞き覚えの無い名前だ。人違いか?


 「ライトって誰ですか?」


 するとその女神の様な女性は俺の手をギュッと握り涙目で話しかけて来た。


 「貴方ですよ!貴方!疲れで記憶が錯乱しているかも知れませんが、貴方は昨日この町をエイシェントドラゴンから救ったんですよ!」


 エイシェントドラゴン?町を救った?全く記憶に無い。もしかしてこれは夢なのか?さっき居眠りしている時に見ていた夢の続きなのか?


 とっさに手でほっぺをつねるが痛みがまったくしない。

 

 何故か分からないがこれは現実だ。。


 俺は様子を見るため話を合わせる事にした。変に話して混乱させても悪いからだ。


 


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