夜の森

熊野一白

泳ぐ花

野原を泳ぐ花があった

その花たちは自由奔放で個性的で

それでもそれぞれがそれぞれを

邪魔しないで引き立てて

色とりどりの花をいつも

見せてくれていたんだ


店に並ぶ花たちは

自分に先がないことを知っている

手足を切り離されて口を縫われて

自分を加工されて

足りないものは他から勝手に足されていく

そうしてできたのは一体なんだろう

そう言って萎れてゆく私はなんなのだろう


野原に咲いた花はいつも

自由を楽しんでた

そしてお互いを見つけた

個性豊かなメンバーさ


それがいつの日だろう

ある晴れた日 花は摘まれて行った

行き先はステージの上

いろんな人が褒めてくれた

花は嬉しくて前のめりになって

自分を見せつけた

人が増えてく 増えてゆく

みんな私を見ていく



店に並ぶ花たちは

自分に先がないことを知っている

手足を切り離されて口を縫われて

自分を加工されて

足りないものは他から勝手に足されていく

そうしてできたのは一体なんだろう

そう言って萎れてく私はなんなのだろう


そうしてできた花たちは

自分を見て欲しくて前のめりしたり

自分が情けなくて隠れたりたしている


あぁ 思い出すあの頃の私たちを

虫や葉や太陽が私を見て笑う日々を

でも

そんな日々が嘘みたいな毎日がやってきた

写真を撮られ見られ触られる

今まで感じたことのない感覚




最近同じことばかり夢にみるんだ

昔みたいに野原に立ち

自由に泳ぎ回る

でも今が不幸せな訳じゃないだろ

泳げなくたって 動けなくたって

友が隣にいてくれるんだから

そう言って精一杯笑った

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