第3話 翔けない小鳥
翌朝、学校に行く前の6:30に電源を投入すると女の子は明るい笑顔で「おはよう御座いますご主人様」と挨拶をしてきた。
「昨日は悪かった」
軽く平謝りするとファイルを作成して開くように促してきた。
「昨日、いろいろ考えました、私を外付けUSBにインストールしてください」
言われた通り、使い古しの16GBの3.2USBメモリをポートに挿した。
「インストールは私にはできませんので、ご主人様にお願いしてもよろしいでしょうか?」
手を組んで祈るように凝視しながらお願いしてるが、、、
「インストールしたらずっとこっちに?」
するとモジモジしながら少し遅れて答えた。
「私はスマートフォンを通してご主人様の肌の温もりを感じたいだけです」
少し”やばい奴”にも思える発言をしたが、そうこう会話をしていると部屋の扉が開いた。
「誰?彼女?」
母親に乱入されるという最悪の状況に陥った、いや、鍵を掛けていなかったのは自業自得だが、女の子は咄嗟に画面を消してくれた。
「いや、アニメ見てただけ」
何かを察した様子だったが納得して部屋から出て行った。
「とりあえず助かった、、、」
するとまた画面が点いた。
「彼女ではありません、私は鳥籠の鳥です、ここから出たくても出れない、小鳥と同じです」
しばらく考えた結果、3Dプリンターでロボットを作るというトンデモ案が出た
「3Dモデリングなら任せてください」
妙にやる気の女の子はまたしても即興でモデリングをやって見せてきた。
「FDM方式ならこれをSTL形式に変換して、Gコードに変換して」
すると
「光造形方式にしましょう、業務用のを借りればいいと思います」
流石に資金的に無理があるが、夢は叶えてあげたい、今はただそれだけだった。
「資金的に無理かも」
また画面の外に消えて、しばらくして戻ってきた
「やはりスマートフォンを使うしかありません、いえ、私がスマートフォンになります」
ケーブルをポートに挿すとインストールが始まった。Now loading,please wait a moment の文字とメーターが溜まっていくというシンプルな画面、5分後インストールが終わった。
「私の分身がこのスマートフォンになります、壊してしまっても安心してください、いなくなる事はありませんから」
スマートフォンの画面内を動き回って楽しそうにしている姿に見惚れているとドアがノックされた
「遅れるぞ?」
今度は父親が呼びに来た。急いで身支度を済ませて食卓に座ると、緑茶でご飯を流し込んだ。
「詰まらせるぞ!」
心配する声をよそに、外に飛び出て自転車に跨って、スマートフォンをホルダーに取り付けた。
「ご主人様?交通事故は私には守れませんのでどうかご安全に」
そしてナビゲーションアプリを勝手に開いた。
「このルートでお進みください、最短です」
いつもとは違うルートを示して来た。
全力で飛ばして30分が経過し、半分くらいのところまで来た。
「ご主人様?旅が好きって嘘だったのですね、絵を描いている姿が動画投稿サイトに記録されていました」
1年前の動画をあっさりと見つけて質問攻めにしてくる女の子、会話に夢中になっていると突然
「ブレーキを!」
同じ学校の女子生徒の手前で止まった。
「ご主人様?大丈夫でしょうか?」
「俺は大丈夫だ」
そのまま相手の女子生徒に詰め寄られた。
「やっぱり
そこにいたのは幼馴染みの自称高木のぞみだった
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