帰還後

「戻ったぞ、Asrielアスリール

『お帰りなさい、ゲルハルト』


 ベルグリーズ王国に戻ったゲルハルトは、Asrielアスリールに質問を投げかける。


おれ達の存在を察知した……という話だったな。察知したのは、誰だ?」

『女神です。とは言っても、仮称ですが』

「正式名称は分からないのか?」

『はい』


 Asrielアスリールは珍しく残念そうな調子で、ゲルハルトに告げる。


『本当であれば、もう少し活動を継続したかったのですが……貴方の安全と引き換えには出来ませんでした』

「それでおれを撤退させたのか」

『はい。ですが、貴方のおかげで、確信を得られました』

「確信……わずか2回の戦いで、か?」


 Asrielアスリールはゲルハルトの問いに肯定すると、短く本題を告げた。


『あれを女神とは、仮称であっても到底呼びたくありません。そういう存在です』

「敵……か。それも、悪意にまみれた」

『はい。引き続き貴方には、あれの目論見を探り、必要とあらば阻止願いたいのです』

「承知した。どの道、既におれ達は敵と認識されているだろうからな」

『ほぼ間違いないでしょう。ですが、今はお疲れ様でした。休息を』

「ああ」




 ゲルハルトは戦意を燃やしつつ、神殿を後にしたのであった……。

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