本編

参戦経緯

 ある神殿の中。

 青年が、ひときわ巨大な青色の巨大人型兵器を見上げながら、問い質した。


「わざわざおれをここへ呼ぶとはな。Asrielアスリール


 Asrielアスリールと呼ばれた人型兵器――その括りを"魔導騎士ベルムバンツェ”という――が、青年の言葉に答える。


『ゲルハルト。貴方をここへ呼んだのは、貴方に行ってほしい場所があるからです』

「何の話だ? そもそも、おれにどこへ行けと?」

『順を追って説明しましょう。ある存在が、異世界から次々と人々を召喚しているのです』

「ッ!」


 ゲルハルトと呼ばれた青年の表情が、一気に険しいものになる。

 彼は先日、異世界から転移した人物にまつわる事件を決着に導いたばかりであった。


「嫌な予感しかしないな」

『その通り、と答えましょう。しかも今度は、前回以上の規模で行われているようです』

「事件解決のために、おれに向かえというのか。なるほど、話は見えた。しかし……」

『どこに行くべきか……ですね。安心してください。道は私が切り拓きます』

「頼むぞ」


 Asrielアスリールの話が終わるや否や、ゲルハルトの目の前に歪曲した空間が広がる。ちょうど人一人が通れる程度の大きさだ。


『可能な限り、真実を暴いてください。そして、出来ることなら……』

「召喚された人々の救出、だろう?」

『ええ』


 ゲルハルトが重ねた言葉を、肯定するAsrielアスリール


「ならば母さんの子供として、全力を尽くそう」




 それを聞いたゲルハルトは力強く答えてから歪曲空間を通り、"戦場”へと赴いたのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る