ぼやき

杉将

ぼやき

アイツは退屈なヤツやけぇ、という言葉が私の中でドクドクと脈打っている。私は退屈な人間であるかもしれないが、その事実と、聞かされた言葉は、全く別物のように感じられた。私の中には、甘い蜜のよう言葉が詰まっていた。それらは他人の言葉一つで苦味に変わった。私が女を求めるのは、言葉を超越したものを期待しているからかもしれない。私は一言も発さずに、誰かに愛されてみたい。しかし、こういう言葉を頭で思い浮かべた時点で、私は現実から遠のいていた。私の人生で夢のような願望が叶ったことは、まだない。だが、一つの真実として私が手にしていることがある。

私は二十歳になる前、よく死ぬことについて考えていた。それが今は、生きたいと思っている。たった四年の月日が、全く別のことを私に考えさせていた。その思考の逆転がなぜ起きたのか、私はうまく言葉にすることができない。昔は死ぬことを考えていて、今は生きたいと思っている、その事実があるだけだった。私の知る真実というのは、未来は分からないということだ。何年後かの私は、真実という言葉を、当然という言葉に置き換えているだろうか?

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ぼやき 杉将 @mametarou0

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