第18話

―― 思わず其処を見ると、途切れることも知らないような豪雨が辺りを濡らしていた。天候が崩れるとは、まぁ知っていたけど’梅雨’にもなっていない季節だったから、その威力に素直に驚いた。 ― 俺の家は学校から自転車圏じゃないけど歩きじゃちょっと遠くて、先が思いやられるな、と予感した。最近買ったばっかのピンクのコンバースを普通に履いてきてしまったのは本当に馬鹿すぎると思った。それに加えて俺には頼りないビニール傘しかなかった。全部濡れる覚悟で死にに行くか、待機するか。辺りが大げさに明るくなって、教室の机を照らすのとそれを思ったのはほぼ同時だった。・・・いよいよヤバい感じがして、座っていた手すりから腰を下ろし、そこにあったスマホを掴む。いつの間にか教室にはもう俺しかいなくなっていて、焦りを助長させた。

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