第16話

そういえば。


『隣の人の声すら聴いたことないかもしれない』ということを、ジャージを貸した後、ふと疑問に思った。


どんな人かもよく分からない。授業中とか、結構な感じで俯いてるから。 


―― ただ、さっきそうたの方を向いた時、髪から見えた耳が赤かったのが印象といえば印象であるが。



― その日は、試験期間で放課後に部活もなく、いつもの奴らで帰ろ、ということになった。

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