凡才サラリーマン、チートを使わず異世界満喫旅行記
シーク
第1話
目が覚めると自分は知らない天井を見上げていた。
普通の人ならあまりないかもしれないが自分には何年かに一回の頻度で遭遇する事案だ。
持病の発作が起こるとこんな感じになる。
身体を起こし、辺りを見回すと一面白い壁で覆われた部屋、どうやら救急車の中ではないらしい。
「目が覚められたのですね」
声が聞こえた方に視線をやると、絵画から出てきた様に美人な女性が椅子に座っていた。
「貴方が自分を助けてくれたのですか?」
「そうですね…大まかな意味で言えばそうなります」
「そうでしたか、それはありがとうございます」
自分の発作は事前に察知出来ずに来るもので、前兆なども今までの経験上は無い。
そして発作の最中は意識がなく、その間の記憶も全くない。
室内で発作があった場合はまだ大丈夫だが、最後の記憶には自分は外にいたはず。
目の前のこの人に助けて貰わねば、場所にもよるが死んでいた事だろう。
「助けて頂いた方に色々と聞くのは気が引けるのですが色々と教えて頂きたい事がありまして…お時間はよろしいですか?」
「ええ、構いませんよ。私に解る事でしたら何でも聞いてください」
発作の最中に自分はどのような状態だったか、この部屋には時計がないのでどのくらいの時間発作が起こっていたか、そしてこの場所はどこで帰り道はどうすればいいか等聞く事はたくさんある。
「順を追って説明させてもらいますね。
まず貴方が持病の発作を起こしたのはほんの数分前、いつものように全身に力が入った状態で道に倒れていました。
そして、その発作の最中に倒れた貴方に気づかず通りがかった乗用車に跳ね飛ばされて頭部を地面に強打。その時の衝撃でくも膜下出血を起こしました。
轢いたドライバーは怖くなってそのまま逃走。しばらくしてから通行人に発見されましたが、時間が経ち過ぎており、病院に着いた時にはもう既に死亡していたようです」
「丁寧な説明をどうもありがとうございました。
その説明が事実ならば自分は死んだと言うことになりますが…」
告げられた話の内容にかなりの衝撃を受けるが顔には出さず、情報を整理する。
自分の身体はここに確かに存在しているが、目の前の女性の話によると自分は死んだとの事。
今まで色んな考察をしてきたが、まさか自分の生死に関わる考察をする事になるとは思わなかったな。
「色々と戸惑われているとは思いますがはっきりと言っておきますね。
貴方はもうお亡くなりになっています」
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