クリスマスにパーティーなのですが?
「「「メリークリスマース!!」」」
オレンジジュースが入ったコップを手に、俺たちが乾杯する。今日はクリスマス。一年に一度のイベントだ。
友だちを家に招いてパーティー。やってみたかったんだよな。
と、いうわけで彩乃と協力して家を飾り付け。わざわざ大きめのツリーまで買ってきた。今月のお小遣いをかなりはたいたが、後悔はねぇ。
家にいるのは俺と彩乃。そして、駿太に天音に白崎さんだ。彰も呼んだのだが、二学期の成績が複数教科で赤点だったらしく、補習&親の説教タイムで来れなかった。残念。
五人で仲良くパーティーをしよう。彩乃が焼いたローストチキンを切り分ける。
「あっ、美味しい!」
「すごいわね。彩乃、もしかして料理得意?」
「もっちろん! 翔くんを養うための技術は完璧だから!」
いや、俺養われないからね? しっかり自立するからね?
と、彩乃が白崎さんを見た。白崎さんは、さっきから遠慮がちにしていて、皿に盛る料理も少なめだ。
彩乃がチラチラと見ていたが、やがて耐えきれなくなったのか頭を掻いて白崎さんの皿を取る。
「あぁもう! ほら!」
肉。肉。肉! とにかくローストチキンを盛り付けて皿を返した。彩乃の奇行に白崎さんも俺も、駿太も天音も驚いている。
「みんな、どうしたの?」
「彩乃……あんた、彩也香と仲悪くなかったっけ?」
「そうだよ? でも、今日は特別。そのほうが作者も読者も喜ぶって聞いたし」
おいやめろ! そんなメタ発言ここでするな! 作者も読者もこの世界にいないから!
まぁ、二人が楽しそうなのはいいことだ。白崎さんも、本当に綺麗な笑顔をしている。
「ありがとう」
「気にしないで。さぁ、食べましょう。自信あるんだから」
ローストチキンやポテトサラダなどの料理を平らげると、お待ちかねのクリスマスケーキ&プレゼント交換タイムだ。
各自で持ちよったプレゼントを、ランダムにシャッフルして交換する。誰のところに自分のがいくか、すっげぇドキドキする。
プレゼントに番号を振り、同じ番号をカードに書いて裏返す。それをシャッフルして順番に引いていく。
俺が引いたのは……1番。1番は……あの青い袋のプレゼントか。うん。俺のじゃねぇか……。
皆は……どうだろうかな?
「あっ、これ、シャンプー?」
「それ、私からのプレゼントだ」
彩乃には白崎さんのプレゼントが渡ったらしい。いいなぁー、羨ましい。
「へぇー、フローラルの香り。ありがとう!」
「ううん。どういたしまして」
駿太と天音は、仲良くプレゼントを見せあっている。
「僕のは天音からだね。マフラーありがとう!」
「あたしもね。この香水の香り好きなんだ」
見事にあいつらはカップルで交換か。いいな、青春だな。爆発してほしいな。
と、いうことは?
「私は……ストラップ?」
「それ、私から。ウサギさんのストラップなの」
「わぁ、可愛い!」
白崎さんには彩乃からのプレゼント。そこで、全員が俺のほうを見てくる。
「まさか……」
「……うん。自分へのプレゼント……」
おい、やめろ。そんな可哀想な目で見るんじゃない。辛いだろ!
その後、クリスマスケーキを皆で食べて、トランプで遊んでいるといい時間になった。これ以上は家庭が心配するだろうし、今日はこの辺でお開きだ。
白崎さんたちを玄関まで送る。
「今日は来てくれてありがとう。楽しかった」
「またねー!」
「うん、また」
「今日、ほんとにありがとね」
「楽しかった。また、来年もよろしく」
「……あっ、そうだ。このメンバーと彰で初詣行こうよ! あたしら仲良し組でさ」
まだクリスマスだが、そういう先のことを約束してもいいだろう。俺は、天音の提案に頷いた。
三人が帰り、俺と彩乃が後片付けをする。今年も、楽しかったな。
「……なぁ、彩乃。何か欲しいものとかあるか?」
思えば、彩乃個人にプレゼントを渡してなかった。今日は無理だが、明日にでも贈り物をしてやろう。
「私に!? そうねぇ……普段頼めないようなもの……翔くんとの子供が欲しい!」
「クリスマスプレゼントのノリじゃねぇな。却下」
ふざけんな。そんなもの無理に決まってるだろ。
「うーん……じゃあ、これで」
そう言うと、彩乃が俺の顔を引き寄せてキスをした。唇が触れて、温かなものが口内に入ってくる。
たっぷり時間をかけて、彩乃が離れた。俺と彩乃の口に糸が引かれる。
「クリスマスプレゼント。ありがとう」
顔が熱い。やっぱり、彩乃のこういう行為はまだ慣れないところがあるな。
「ところで、翔くんは何か欲しいものある?」
俺が欲しいもの。そうだなぁ……。
「とりあえず、読者とかレビューかな?」
「……翔くん。メタ発言はダメじゃなかったっけ?」
そうでしたね。ごめんなさい。
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