陰摩羅鬼だけど葬儀社員です。

@Onmoraki

第1話

薄暮はくぼの中、しめやかに香の煙が漂ってます。私はこの薫りが好きです。

稀に同じ意見の人に出会う事もあります。

「何だか、ほっとするでしょ。」又は、

「何か懐かしいよね。」中には「おばあちゃん家の匂い」という人もいるようで。

私にとっては、職場の香りですしね。しかし、本当のところを言わせてもらえば、私がこの香りを好きな理由は世間の同じ意見の皆様からすると、全くもって異なったところにあるのです。本当に別次元の話と言って良いような気もします。簡単に、単刀直入に言うと、私にとってこの香木の煙のしめやかな香りは、「お腹が空く」香りであるのです。

『あーお腹すいたなぁ。』私は心の中でぶつぶつ呟きながら、駐車した社用車から降りました。現在時刻は午後15時。外回りを終え、事務所に入ってきた所で引き継ぎとミーティング。この「香り」から判ずるにどうやら一件搬送があったようですね。久しぶりです。

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