久遠の先は、茜射す道
桜泉
第一話 序章
その男、名を峯と申します。
男と申しましても、まだまだ小僧で御座ります。
生まれはオノコロシマ。
港から山の上まで、他人の土地を踏むことなく屋敷に帰れましたものを、御国の方針とは言え、いささか思うところも御座ります。
まぁそれでも、山と屋敷は残りましたので、界隈では屋敷の峰さまで通っておりました。
祖父の代で殿様商売を始めたのが、没落の切っ掛けで御座ります。
荷を買っては雇いの船頭に任せ、我は客船で
そうして財を無くする当主も果てて、方々に散った土地を買い戻したのが、峰の父で御座りました。
田畑もあり、生活には困りませなんだが、これと言って、次男三男に財を分けるほど、金銭に変わる収入も御座りませなんだ。
峰が尋常小学校を卒業した年に、縁あって、それなりに名の通った
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