第27話魔境異次元ごっこ
魔境へ入り、更に奥に進む。目指すは魔境最奥の地、魔鏡城。そこには城があり、最上階には鏡があるという。その鏡は未だ再生中で、もし、その鏡が再生すると中から魔王が現れる・・リングみたいで怖ぇ~あれ見た時はちびるかと思ったぜ!
魔鏡城への進軍の中、魔物が度々現れた。しかし、アルとあーちゃんが瞬殺した。アルはともかく、まさかのあーちゃん強い設定に悪意を感じる。聞いたところ、剣の腕じゃなく、国王より下賜された剣がデュランダルという何でも斬れるという斬鉄剣みたいなやつらしい。それで、大抵の魔物はまっぷたつ。最も俺様の聖なる杖も殴れば、大抵の魔物が一発。ただし、心が清らかな者が殴った場合ならという条件付き。それでゴブリン殴っても大した威力なかった訳だ。俺様、無抵抗のゴブリンをなぶり殺しにしようという、鬼畜の所業をしていた。そりゃ、聖なる杖も威力でないよね? でも、俺様、例え清い心があっても、怖い魔物にびびって、何もできない自信しかない。情けないでち。
それにしても、高等部でのダンスパーティでの婚約破棄まではうまく行っていたのにな~。俺様は一人想いを馳せる。あの作戦が成立したのは、メインヒロイン、アン・ソフィの成長のおかげだった。彼女は最初の頃とはずいぶん変わった。彼女の愛らしい笑顔はどんどん破壊力満点の笑顔になっていった。その物怖じしない正義の心も、慈愛に満ちた心も簡単にわかる。彼女はアルバイトで、夜のレストランで歌を歌っていた。それも日本の歌を! 彼女の日本のヒットナンバーはこの世界の人も魅了した。かくゆう俺様も何度か聴きに行った。懐かしい日本の歌。それにアンの美声! 素晴らしい歌に誰しもが心をうたれた。
アンはそれだけではなかった。一人暮らしの彼女は学生寮の近くで子供と良く遊んだ。そして、時々、子供にせがまれて歌を歌った。子供向けにバイキンマンの歌とか、NXK的な奴を中心に、子供の心を掴んだ。子供達の親御さんはアンに好意を抱いた。当然だ。アンが子供の面倒を見てくれるおかげで、親御さんは仕事や家事に集中できた。この世界では、子供へのセキュリティの概念は無い様だ。昔の古き良き時代の日本の様な感覚なんだろう。そうして、アンは魔法学園の歌姫という二つ名を得ていた。
アンは王子のカールに近づいたものの、俺様に遠慮して、それ以上のアピールはしなかった。だけど、カールは基本、浮気者らしい。全ての女の子に優しいという面もあるが、簡単に惚れてしまうらしい。カールがアンに心を持っていかれるのを俺様は見逃さなかった。それに乗じて作成を決行した。所詮男は所有欲が強く、自分がアンに心を奪われても俺様を離してくれない事は想像できた。俺様自身がハーレムを望んでいるんだから、カールへそれを止める権利はない。ただ、俺様がカールのハーレム入りするのは御免こうむる。
それで、あーちゃんと相談して、幼馴染のアルと頻繫に逢った。カールへの誕生日のプレゼントを一緒に探して欲しいというもっともな理由で・・・アルが断る理由がない。アルは俺様の子分なのだ。俺様を拒否なんていう概念は持たないだろう。俺様がそう躾たんだ。案の定、カールは焦った。あいつはアンも俺様も愛していた。浮気者のカールはまんまと罠にハマり、婚約破棄を言い渡してくれた。そして、アンと正式に婚約。アンは驚いたろうな。突然のカールの婚約破棄に・・・でも、アンがカールを好きなのはバレバレだった。だから、カールもアンに興味がいったのだろう。これで、イェスタ王子やアルが出てこなければ、俺様は傷心の元、修道院に入るという完璧な作戦だったのに・・・何故か今はアルとあーちゃんで魔境を彷徨うという謎シチュエーションだ。
魔境に入って、小一時間位で、城についた。魔境って、どんなけ狭いんだ?
「クリス、アリシアさん、気を付けてください。この城には強い魔物がいる可能性があります」
「あい」
「はい、わかりました勇者様」
あーちゃんは完璧な答え。俺様はもう自暴自棄だ。俺様、なんでこんなに役立たずなの?
そして、アルとあーちゃんが次々と魔物を倒し、俺様がガクガクブルブルしている間に魔鏡城の最上階についた。しかし、そこには思わぬ強敵がいた。
「よく来たな。人よ。我らの主様の復活を妨げる事は許さん。長きにわたり平和を貪り、弱体化したお主らに魔族たる我が倒せるかな?」
俺様はじぃーとその魔族と称する、はげを見つめた。魔族ははげだった。明らかにそうだ。それと顔がおへちゃだった。身体的な事を言ってはいけないという事は判っていたが、察して欲しい、でも言いたいんだもん。それにアルがやっつけてくれるから、かまわんだろう?
「魔族って、顔がおへちゃで、はげだと成れるの?」
「えっ?」
「クリス様?」
突然の俺様の発言にアルとあーちゃんが驚いた様だ。
「あ、ごめん、俺様嘘がつけない性格で......」
シュン
残音を残し、魔族が動いた。そして、当然、アルがやっつけるだろうと思ったその時!
「ひぃ……! あぐっ……く、やられっ……!」
「あ”っ、んあ”っ、んあ”あ”あ”あ”ん”ん”ん!!」
たちまちアルとあーちゃんが悲鳴を上げた。二人共血を流して、床に這いつくばっている。俺様、既に脚はガクガク、歯は震えている。
『ごめん。あーちゃん』
俺様は懐の毒の入った小瓶を探す。毒を煽る為に、まさか役に立つとは思わなかった。多分、この魔族は俺様にそういう事をするつもりだろう。そんな屈辱受ける位なら、いっそ、だけど、あーちゃんごめん。俺様自分だけずるい。巻き込んだし、ホントにごめん。自分に力が無い事がこんなに辛いとは・・・・・・しかし、小瓶を持つ手が震える。そして、小瓶を落としてしまった。何をやってるんだ俺様は!
「貴様、毒を煽るつもりだな?」
「ひっ! ひぃい!」
俺様は情けない声を出してしまった。一瞬で、魔族のはげに腕をねじ伏せられていた。そして、
「貴様、誰がはげだ?」
「た、たびゅん、わらしです。ごめ゛んなざい! ごめ゛ん゛なざい! ゆるじでください!! だからもう、殴らないで……蹴らないで……」
「いや、我はそこまで酷い事してないぞ! 女性を殴ったり、蹴ったりはしない」
「ひぃ! そ、そうでずぅ!! わだじがぜんぶわ゛るがったでずッッ!」
「わかればいい」
「たすけてください……お願いします、わたし達を見逃してください」
「それはできん。魔族である我が勇者と聖女を放置できる訳が無い。お前らは我らの宿敵だ。それに・・・貴様良く見ればかなりの美形だな。たっぷり楽しませてもらおうか?」
「あ、はっ、はあっ、うわあぁぁああ! た、たずげ……たずげでぐれえぇぇぇぇぇっ!」
俺様の悲鳴を無視して、魔族のはげは俺様お手をねじり上げた。
「ぃ……いだっいだいいい! やめて、放してくらしゃい! だれか!」
「いい声で鳴くな! 気に入ったぞ」
魔族は乱暴に俺様を組みひしぎ、そして、そのまま俺様に覆いかぶさった。抵抗したが、両手とも組み敷かれ、全く身動きができない。
「や、やめてくだちゃい、はなちて!」
「だめだな。聖女! これから我がいい事をしてやる!」
組み敷いている手をなんとか退かそうと力を振り絞ったがビクともしなかった。 魔族の力は強い等というものではなかった。それになんか臭い・・・
「お願いらから、許して....」
小さな声で俺様は屈辱的なセリフを吐いた。だが、魔族は俺様の胸に近づき、聖なるローブを切り裂き、はらりと胸をはだけさせた。俺様の胸が魔族の目に晒されている!
「い、いゃぁ!」
びっくりして、普段出した事の無い声が出てしまう。 最悪だ。男の前に胸を晒すなんて、屈辱の上、魔族の目つきが気持ち悪いったらない、できれば一生経験したくなかった。
「なかなかの上物だな。きちんとメスの声もだせる様だな。今日はついている日だな!」
「ひぃ……! あぐっ……や、やめっ……!」
俺様はもう必死だ。ああ、もう、誰でもいいから助けて! ばたばたと両脚をもがくが、かえって両脚がローブからこぼれる。やばい、かえって嗜虐心が増してしまう!
誰か、たすけてください……お願いします、わたしを救ってください。心の中で願った! あるいは、今度こそ、真なる力が目覚めるとか、神的な存在に「力が欲しいか?」と囁かれたかった! しかし、ここは魔境なのだ。誰も来る筈が無かった・・・
「なあ、お前、俺様の弟の恩人に何してんだ?」
突然の声の主に驚く、
「だ、誰?」
「聞かれて名乗るのも烏滸がましいが、ムー共和国最強の勇者ベルンハルトとは俺様の事だ」
「なんだ、貴様、お楽しみの最中、失敬だな!」
「そうはいかないだよ。うちの国の聖女がな、アトランティス王国の聖女クリスティーナに危機が訪れる事を予言したんだよ。聖女クリスティーナはな、俺様の弟をまっとうにしてくれた本物の聖女だ。弟の恩を返す必要があるんだよ」
「ふん、そこの勇者同様、八つ裂きにしてやる」
そして!
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