45.予期せぬ奇襲
ガガランダ鉱山、地下に
「──くっ。
"輪"の力で、突如見知らぬ場所の空中に移動させられたクウは、冷静に落下の受け身を取る。すぐ近くに落ちたキテランも、着地に成功していた。
二人は同時に立ち上がり、空間の様子を見る。クウにとっては、初めて見る場所である。
非常に広大な空間だった。クウとフェナがドワーフ達と合流した場所に似ていたが横の広さも天井の高さも数倍広い。黄金の
「ふむ、ここは宮殿の大広間じゃな。──おおっ!
キテランが自分の姿を見て、
「
「
「かなり広いね。それに、ちょっと酒
「他の
「えっ……?」
クウは、散らかった
「この場所は、かつて"ガガランダ王国"に侵攻した"黒の騎士団"に追い
「最後の場所って、それはつまり……」
「そういう事じゃな。"黒の騎士団"に
キテランは感情の無い声で
「そうして最後に残ったのは、たった3人だけ。王である父上、
「ロフストさん? ──じゃあ、ドワーフ王が死の間際に逃がした兵士っていうのは……彼?」
「ほう。ロフストは、お主にもその話をしたのじゃな。──王、父上はその身に隠し持っていたあの"
「ロフストさんは、起きた出来事を伝えようとして地上を目指した。そしてドワーフ王は──君を助けようとしたんだね」
クウの言葉で、キテランはぐっと
「あの"
キテランの拳の先から──小さな炎が生じた。彼女の手の甲には、真っ赤な"輪"が
「キテラン王女、君も──!」
「赤の領域の
キテランは自分の燃え上がった拳を見つめると、ゆっくりと指を開いた。すると発火は収まり、キテランの小さな手は普通の状態に戻った。
「ふむ、
「
クウがそう言った時だった。何の
「なっ、何だ──!?」
「分からぬ。じゃが──急いでこの場を離れるぞ、クウ。今ほどの衝撃では、この宮殿が
クウとキテランは、駆け足で上層に移動した。そこは大広間に似た広さと
空間には
クウ達と行動を共にしていたドワーフ達が──体に傷を負った状態であちこちに倒れていた。皆が何かに立ち向かった様子で、それぞれ自分の武器を使用した形跡が見受けられる。
「──フェナ!」
クウが
フェナは声に反応してクウを見る。クウはフェナの近くに駆け寄り、腰の"
「フェナ、この状況は一体どうしたの?」
「クウ……。無事だったのね。良かった。うっ……」
フェナが、がくんと
「フェナ!? えっ、これは──!」
フェナの身体は、全身の至る所が焼け
「これは、ひどい……! 何でこんな事に──!?」
「駄目よ、クウ……。剣を構えなさい……。まだ、あの"十三魔将"が……!」
フェナが震える指でクウの後方を指し示す。クウはフェナを
「うわあっ──!」
クウは片手でフェナの頭部を
爆発の衝撃が、クウの風によって
「──むうん。やるもんだねえ。完全に不意を突いたと思ったのになあ」
黒煙の向こうから、野太い声がした。
「やあ、"人間"。君がその女の飼い主だねえ? でも、
高級そうなダブレットを着た肥満体の大男が、のそのそと煙の中から姿を現す。
「気をつけた方がいいよお。
「僕は"飼い主"じゃない。──アンタが、フェナの身体を焼いたの?」
クウはフェナの身体をそっと地面に横たえると、ゆっくり立ち上がって──大男を
「そうだよお、"人間"。ボクの事を知らないみたいだねえ? ──ボクは"十三魔将"の一角、"
大男──ケペルムは、両手を腹の側面に当てて胸を張る。
「怒った顔をしてるねえ、"人間"。いいよお、その顔。──さあ、ボクと遊ぼうよお」
ケペルムが、ゆっくりとクウに手を
「むうん……"
ケペルムの言葉に反応し、黒い
次の瞬間、紫色の球体を中心に──激しい爆発が巻き起こった。
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