41.ガガランダ鉱山へ
「探し出す──と言いましたか?」
「ああ、そうだ」
ロフストは腕組みをして、顔を上げてクウを見た。
「"黒の騎士団"は、多数のドワーフの国民達、そして王と王妃を殺した。だが、王夫妻の一人娘である──"キテラン王女"だけは逃がしちまったのさ。王女様は現在も生きていて、ガガランダ鉱山の何処かにいらっしゃる。そいつだけは確かだ」
「確証を持って、言える事なんですか?」
「ああ。ドワーフ王は亡くなられる直前、伝言を
悲愴に満ちた顔で、ロフストは言った。
「"封じた"という、王のおっしゃったその言葉の意味は、今も分からねえままだ。──理由は、"黒の騎士団"の襲撃から十分に時が
「あら、王様の
フェナが不思議そうに聞く。
「鉱山に入りたくても、入れなかったんだ。あの時以来、鉱山には強力な"
「"
クウはフェナの手にある、"
「恐らく"
「なるほど。──僕が何を手伝えばいいのか、分かりましたよ」
「ああ。──"ガガランダ鉱山"に、俺達と一緒に来てほしいんだ。王女様を助け出せれば、彼女の名の
ロフストは、深々と頭を下げた。
「この通りだ。王女様は、俺達ドワーフにとって最後の希望であり、導きの光なんだ。彼女を失えば赤の領域は──間違いなく終わりだ。だから、どうか──」
「頭を上げて下さい」
クウはロフストに近寄って両肩を
「"ガガランダ鉱山"へ行きましょう、ロフストさん。王女様はきっと──"ジャスハール"と同じくらい、首を長くして待ってるかも知れませんよ」
◆◆
赤の領域のある場所。小柄で、
その隣には、
「──"
「
「何ですって? また考え事して上の空ですかい。しょうがねえなあですな、
小鬼──オボルは溜息をつき、
「ここ数日、この"赤の領域"で騒がしくしてやがった"黒の騎士団"の野郎共ですがね、どうも引き
「もう一つあるだろ。──指揮官の、"十三魔将"がいなくなった時だ。」
「いやいや、そりゃあ考えにくいですぜ。ウルゼキアの"白の騎士団"でさえ圧倒しちまう"
「外から来た奴、という可能性もあるよ。──"緑の領域"にあった、"黒の騎士団"共が捕まえた他種族を閉じ込めておく監獄、"ホス・ゴートス"。あそこで"十三魔将"の一体が──"人間"の手によって、倒された話があっただろ」
「まさか……その"人間"がまたしても、"十三魔将"を討ち取ったと?」
「アタシはそうじゃないかと思ってる。まあ、今から"メルカンデュラ"に行くんだから、そこでドワーフ共に話を聞こうじゃないか」
オボルは首を
「あっしには信じ
「おや、オボル──顔色が悪いね。顔も悪いが、そりゃあいつもの事か。アタシと会った時の事でも、思い出したのかい?」
「そんな所でさあ」
オボルはそう言うと、腰から──
「こいつの出番は無いとは思うが……用心しといて損はねえですからね」
「へえ、
「ご安心を。最初はこんな
「同感だね。アタシも前世じゃあ銃に触った事なんて無かったけど、使ってみると中々に面白いもんだね」
「え? しかし、
「"銃"はアタシの前世の世界じゃ有名な武器だった。でも、アタシのいた国じゃ戦争なんてやってなかったし、武器を持つ必要もなかった。それだけさ。──イルトもそれぞれの領域によって、種族や生活様式だけでなく──文明にも違いがあるだろ? 同じことだよ」
オボルの変化に富んだ顔とは対照的に、
「その、
「アタシが──?」
無表情な
「
「……そう思うかい」
「ええ、思いますぜ」
「アタシは前世での苦労をすべて忘れて、イルトで新鮮な第二の人生を
「そうですかい。──済みませんね、忘れてくだせえ」
「ただし、それは──」
「向こうの態度次第、だけどね」
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