第4話 マスターベーション
『いやっやめて!それ以上近付いたら、私は舌を噛み切るわよ!』
『ふっやってみろよ。それ以前にお前らはオレの術にはまり、その快楽によって舌を垂らす方が先になると思うがな』
カズヤが発する魔術によりレイナのビキニアーマーの肩ひもが外され、触手により純白スカートの布がまくり上げられていく。
そしてそのまま太ももへ巻き付くと、すでに敏感な反応を示している
レイナのアンダーウェアへと迫っていった。
『やっやんっ!なっなんだその魔道術は!?何かが私の太ももにぃ、あんっそこはぁ・・・・・!?やぁんっ!やめっさっ触るなぁ!この身体は全てまっ魔王様に捧げたものなんだっ!』
『そうは言ってもこっちのマジックセイバーの女は、既に俺の手業に屈したようだぞ・・・・』
『あんっ!やっすごぉ、すごいのぉ、それすごくいいのおぉぉ!!』
魔道エナジーが注ぎ込まれたマローナの股は大きく開き、そのとろける果実を露わにしていた。
『マローナー!!ダメだ耐えろ、耐えるんだー!!』
『いいのぉ・・・・ホントこれ。もうアタシこの方に仕えることにするわ、ハァハァ。レイナ、貴方もきっとそうした方がいい。あはんああぁ!!こんな快感、魔王様にも受けたことが無いのぉぉぉ!』
精神が突き抜けそうな快感から、マローナは卑しくもよだれを垂らして・・・・。
感染者再拡大の報に触れて、まだしばらく巣ごもり生活が容認できるという雰囲気に乗せられた私は新作の執筆作業に取り掛かり、とりあえず序盤8話分ほどを書き上げた。
『異世界ハント!~魔王も転生勇者もエルフも村人もプリーストもみんな俺が狩りつくす!~』
あるオフィスのパソコン上でそのタイトルと中身をざっくりと眺めながら、私は複雑な心境に駆られていた。
分析を踏まえた上での第二作目のはずだが、何だか違う気がする。
確かに異世界転生話だし、どんな内容かタイトルで表したつもりだが、特に惹きつけられるものはない。
内容としては、現世では何をやっても上手くいかない二十歳そこそこの青年が社会に恨みを持って不幸な死を遂げると、当然お決まりのごとくファンタジー世界に転生して冒険者となる話。
ただそこからは少し趣向を凝らしたつもりだ。
恨みを抱き転生した主人公ということで、
ものすごく露悪的に振舞わせることにした。
いきなり魔王に挑んでやられると、魔王に付き従うフリをしてその寝首をかく。
さらには魔王の作っていた巨乳ハーレムを奪い取り、現世の憂さ晴らしとばかりにそこから、魔王に成り代わり世界侵攻作戦を開始する。
同じく転生組の人間たちやモンスター、村人たちを狩りつくし、お気にのキャラだけは仲間に加えるという、まあ眺めているだけでも露骨にサイアクな主人公描写だ。
これが鬱屈した自分自身の深層心理が表れたものだと考えてしまうと、書いてる自分に吐き気がしてしまうほどだった。
だから私は序盤だけ書いてとりあえず小説サイトに投稿だけは済ますと、そこでもうあとは知らんぷりでこの作品は打ち止めとすることにした。
そして現実を見据えようと、職探しのためハローワークへ通った。
ウイルス騒ぎで有効求人倍率は下がっているはずなのに、あれよあれよという間に請負のデータ入力の仕事が見つかった。
現在は仕事を始めて二週間ほどが経っており、今はその休憩時間に小説の構想を練りながら、自分の投稿した作品をぼんやりと眺めている。
アクセスを見てみると、自分でも嫌気がするような作品なのに何故か前作よりは反応は良かった。
ブックマークは10個ほどつき、ページビューも安定して三桁に乗っている。
やはりお決まりの型にハメたことに一定の効果はあったということだろう。
だがそれが何だというのだ。
出版物にもならないアニメ化もしない、
ただ書いていて自分自身が情けなくなるような作品に何の価値があるだろうか。
それに最近はラノベと言っても世界的な潮流もあってコンプライアンスが重視される気がする。
女の子の内面も特に描写されずに、ただむやみやたらと軽く淫乱だったりして
性の対象物としてしか描かれないのは常々おかしく思っていたし、書くのも本意ではない。
この手のありふれた異世界冒険ものなどたとえサイト上で読者がつき、
仮に出版までこぎつけられれば一定の成功と言えるのかもしれないが、
それでもジャンルとして飽和状態にある分、数打ちゃ当たる方式がとられており、
売れないものも当然無数にある。
そしてラノベ作品はアニメ化などメディアミックス展開することで、本やグッズの売り上げが計算でき、初めて成功だという話もよく聞く。
さらにアニメ化されたとしても、異世界物はやはりありふれている分ロクに面白い作品は見当たらないではないか。
なんのオリジナリティーもない作品を、
小説だとラノベだからといって誰かさんの一時の快楽のため垂れ流すことに何の意味があるのだろう?
ほとんどポルノビデオと変わらないのではないか?
それなら自分の探求する唯一無二の作風を追い求め、苦しんだとしても懸命に創作活動に取り組み続けることこそが遠回りだとしても真の小説家への道に繋がるのではないだろうか?
まあそうして叶いもしない夢を追い求め、人は引き返しのつかない泥沼にハマっていくんだろうということもまた真理ではあるが。
さてまた始まる、虚しい仕事が。
パソコン上に向かいデータ照合と入力を繰り返す日々が。
ああつまらないつまらない。
終始安定してなんで仕事というやつはこうもつまらないのか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます