大好きな幼なじみに振られ、クラスメートにも馬鹿にされた「今更勘違いだって言われてももう冷めたし」

ネコlove

第1話

ドクンッドクンッと、心臓が鳴る音が聞こえる。


鼓動は徐々に早くなっていた。


校舎裏のとある一角。


俺は胸を押さえ、火照った体を落ち着かせている。


その理由は今までの人生で一番の山場を迎えているからだ。


なんなら高校受験よりも大事な大切なことだ……。


ザッザッザッザッ。


一つの足音が近づいて来ていた。


角から現れたのは、髪は後ろで結んだポニーテール。

まん丸でクリクリとした大きい目を持ち、鼻筋も通っており、唇もぷっくらと可愛い。


超絶美少女だった。


彼女は俺の幼なじみ、新島あらしま 梨穂りお


そのずば抜けた容姿から、彼女は頻繁に告白されている。


しかし、彼女は全て断っている。


容姿だけで皆んなが判断するからだという。


俺は彼女が大好きだ。


容姿もだが、その性格も! ……スタイルも。


俺は彼女のことを容姿だけで判断していない。


俺となら少しくらい考えてくれるのではないかと、その気持ちが俺の背中を押し、今に至っている。


「ごめん待った?」


「う、ううん。今来たところだよ」


心臓はもう張り裂ける寸前だ。


ドクドクと唸る心臓をよそに、俺は本題を告げた。


「僕は、ずっと君のことが好きでした。付き合ってください!」


「えっ! いやいやいやいや! 無理でしょっ!」


彼女は答えを出すスピードが尋常じゃなかった……。


そんなに俺はないのか……。


なんなら告白の途中で被った気もしなくもない。


俺は後悔と羞恥、そのどれもを抑えるため、隠すために家まで本気で走った……。


♢♢♢


ドクンッドクンッと、心臓が鳴る音が聞こえる。


鼓動は徐々に早くなっていた。


校舎裏のとある一角。


私はそこに呼び出された。


告白の名所であるそこに呼び出されたと言うことは少しは期待してもいいのだろう。


私の大好きな幼なじみの彼から告白してくれるかもしれないと言うのはあまりにも嬉しく、親友の真衣まいにも自慢した。


する真衣は、私ならアドバイスができると、今後ろについてきている。


曲がり角を曲がった。


そこには私の思い人がいた。



私はそのまま走り込んで、幼なじみの前に立った。


「ごめん待った?」


そういうと、初々しいカップルのように返してくれる。


私にとってはその時間が最高に幸せだった。


「う、ううん。今来たところだよ」


少しの間沈黙が続く。

私の方からは見える校舎裏に入る曲がり角には真衣が見える。


「僕は……。」


彼が僕は、といった瞬間真衣がフリップを取り出した。


そこには、


『私から言わせてください! 私はずっと圭也幼なじみが好きでしたっ!』

っていいなさい!


の文字。


私は咄嗟に声にあげてしまった。


「えっ! いやいやいやいや! 無理でしょっ!」


それは、彼が告白を言い終わったのとほぼ同時。


「ずっと君のことが好きでした。付き合ってください!」


そう伝えた彼は走って行ってしまった。


呼びかけることもできない。


ただ唖然として立っている。


私には知性というものが無いのかもしれない。


ただ分かるのは、人生最大のチャンスを水の泡にしてしまったということだけだった……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

大好きな幼なじみに振られ、クラスメートにも馬鹿にされた「今更勘違いだって言われてももう冷めたし」 ネコlove @sakikou

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ