星
Yuma.
第1話 星
── 今でも覚えていることがある。4年生の時、学校の授業の一環で「星座の動き」を観察しなさいって課題が出たんだった。
理科の授業にしてはやけにロマンチック(使い方は分からないが)な課題を出してくるんだな、とどこかずれた所に感心をしたことも何となく覚えている。── あれは、たぶん夏になりかけの頃だったと思う。どこか透明がかった紺と、藍のあわいに幾つも光が瞬いていた。私は少しちゃちな方位磁針と授業で配られた「星見表」を片手に空を見上げて、こんなにちゃんと星を見たことなかったかもしれないと思った。
今思えば、時たま星空を見るようになったのはこのことがあったからかもしれなかった。
私は近くにある接骨院の広い駐車場を借りて、入り口にある段差にシートを敷き、そこに寝っ転って。観測地点に着くまで、南から吹く夜風を肩の辺りに強く感じた。星の軌道を用紙に写そうという課題をしようとしても、一体どれを捉えればいいのか、一度でも目を離せばどれを書こうとしていたかなんて全く分からなくなりそうで、作業は進まないばかりだった。
星 Yuma. @meemo
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