第38話 カフェオープン

りこを俺の屋敷に連れて帰り、数日が経過した。


「お兄ちゃん。クレープいつ作ってくれるの?」

「ああ、そうだな。クレープな」


俺とりこは、市場で材料を買ってからレインさんの店へ行った。

相変わらず店は繁盛している。レインさんもアリスも忙しそうだ。


「あ、師匠!!」

「よ、アリス。忙しそうだな」

「ええ。今日も大忙しですよ」

「ちょっとクレープ作りたいからスペース借りるぞ」

「おお!?噂のクレープですか!?」


アリスが目を輝かせている。


「ヒカルさん。クレープって何?」


レインさんも興味津々だ。


「まずは……ボールに薄力粉と砂糖を入れて、混ぜてから牛乳を半分くらい入れて混ぜる。卵を割り、入れて混ぜる。で、残りの牛乳も混ぜるっと。後は生地を焼くだけだ。で、後は買ってきた生クリームとフルーツを入れたら完成だ」

「おー、なんだか甘い匂いがしますね」


完成したクレープをりことアリスとレインさんに渡した。


「わー、クレープ久しぶりだー!!」

「美味しい!!何これ!?」

「ふわふわー。甘ーい。師匠、これ凄く美味しいです」

「これがクレープだ。中身を変えると色々味のバリエーションも増えるぞ」

「こんなに簡単に作れるなんて凄いです」


皆でクレープを堪能した。


「ねえ。お兄ちゃん。私クレープ屋さんやりたい」

「ええ?」

「っていうかカフェやりたい。オシャレなカフェ」

「うーん……」

「師匠、実はですね。私も自分の店を持ちたいと思っているんです」

「ええ!?アリスも!?」

「はい。レインさんの店で働いてて、いつか自分のお店も出せたら楽しいだろうなって思うようになってきたんです」

「ねえ。アリスさん。だったら私と一緒にカフェやろうよ!!私も働いてみたい!!」

「おお。師匠の妹さんと一緒なら心強いですね」

「確かにカフェなら軽食だからレインさんの食堂の邪魔にもなりにくいし、良いかもしれないな。フードコートみたいにするか」

「フードコートいいね!!」

「ふーどこーと?とは何ですか?」

「同じ場所に複数の飲食店が並んでるところだよ」

「なるほど。つまりレインさんの食堂の隣で店をするって事ですね?」

「そう。レインさんの食堂ではがっつり食べれるし、りこ達のカフェなら軽食を食べられる。いいんじゃないか?」

「うん。それでいこう!」

「確かにうちもたこ焼き焼いたりする手間が省けるなら他の料理に集中できるし有難いわね」


レインさんも喜んでいた。


「それじゃ、カフェを作る計画を立てるとしようか」

「おー!!」

「はい!!」


アリスとりこの共同で、カフェを開業する事にした。

店を始める為の準備を色々やっていった。

店を建てたり、メニューを決めたり、やる事は沢山ある。


「ってことでさ。お兄ちゃん。可愛い妹の為にお金出資してよ」

「まあ別にいいけど」

「やった。さすがお兄ちゃん。豪華な家に住んでるし、やっぱり金持ちなんだね」

「まあゲームのおかげだな」


そしてレインさんの店の隣に建物を建てた。


「ところで店のメニューは決めたのか?」

「たこ焼き、クレープ、ワッフル、パンケーキ、ドーナツ、後はかき氷」

「かき氷機がないだろう?」

「あー、そうかぁ……」

「しょうがないな。マリオさんに言って作ってもらおう」

「えっ!?作れるの!?」

「まあ多分大丈夫なんじゃないかな。マリオさん腕の良い職人だし」


かき氷機がないからマリオさんに作ってもらった。

試作品を皆に食べてもらうと感動していた。


「それで店の名前は決めたのか?」

「ニコだよ。マークはね、犬とサイコロなの。アリスがどうしても双六っぽい感じを入れたいって言うから、じゃあサイコロかなって」

「なるほどな。カフェ、ニコか。いいじゃないか」

「うん!」


こうしてカフェ、ニコのオープン準備は着々と進んでいった。

ケインに言ってお洒落なテーブルとイスも取り寄せてもらった。


「内装はケインさんの協力のおかげで、かなりお洒落になったね」

「ねえ。アリス。外でも食べられるようにしようよ」

「外で食べるの?」

「うん。庭を花畑にして、花を見ながらご飯食べる事ができるようにするの」

「わあ、それ凄くいい」


庭に植える花も沢山取り寄せた。

そしてついにカフェ、ニコがオープンした。


「なんかレインさんの店の隣に新しいお店がオープンしたらしいわ」

「凄くお洒落ね。高いんじゃない?」

「いや、それが全部リーズナブルな軽食なんだってさ」

「かき氷食べたけど、あんなの初めてだよ」

「ドーナツ美味しかったなあ」

「私はパンケーキ一択よ」

「クレープも種類が豊富でどれも当たりなんだ」


カフェ、ニコは口コミですぐに広まっていった。

主にやってくるのは、若い女性客が多かった。

今までレインさんの店では、若い女性客がここまで集まる事はなかった。

その女性客達も今度は、レインさんの店で食事をする事で、レインさんの店の客足も同時に増えていった。

りことアリスのカフェ、ニコは大成功でスタートした。


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