パーティーゲーマーの俺は、異世界で伝説の遊び人として生きていきます

富本アキユ(元Akiyu)

第1話 転生してしまいました

人々の恐怖、絶望、悲鳴。

平和だった俺の日常は、こんなにもあっけなく消えてしまうのか。

何かを必死に努力して成し遂げた事もない。彼女もできなかった。

何もかもが中途半端だ。

お菓子を食べながらゲームして遊んで、ファンのバンドの音楽を聞いてるだけ。

勉強もスポーツも特に人よりも優れてるわけでもない。

同級生達の中では、ほんの少しだけ絵を描くのが得意なくらい。

普通で平凡な人生を過ごしてきたし、高校生活も普通に過ごしていくと思ってた。

俺は、別に犯罪になるような悪い事なんて何もしてない。

でも、こんなのは、いくら何でもあんまりじゃないか……。


「地球に向かってくる巨大な隕石は、もう間もなく地球に衝突します。私は最期の時まで自らの仕事を全うしたいと思います。全人類、すべての人に感謝の気持ちでいっぱいです。私の人生は最高でした。皆様、本当にありがとうございました」


テレビからは、真面目で誠実、三年連続好感度ナンバーワンの人気男性アナウンサーが深々と頭を下げる様子が映し出された。この人は立派だ。涙が零れ落ちそうになるのを必死に堪えながらも最期までアナウンサーであり、誠実であり続けた。


俺は、自宅でテレビの画面を家族と一緒に見ていた。両親と妹の四人家族。

地球最後の時は、家族と過ごしたい。

父さんがそう言ったから。


「本当に信じられないな。もう終わりだなんてな」

父さんが言った。

「皆、最後に何か食べたい物はある?何か作ろうか?」

母さんが優しく言う。

「ううっ……ううっ……」

ずっと泣く妹のリコ。

「たこ焼きが食べたいかも」

俺は言った。

「光、お前……。最後の晩餐がたこ焼きって……」

父さんが笑った。

「うーん、たこはないわね。たこなしのたこ焼きなら作れるけど」

母さんが言った。

「それじゃ、ただの焼きじゃん」

リコは、そのやりとりを見て泣きながら笑った。

たこ焼き機を出してきて、家族皆でたこの入っていないたこ焼きを作った。

なんでかな。たこ入ってる普通のたこ焼きより美味しく感じた。

たこ焼きを食べ終わり、間もなくして強烈な光が出てきて目を開ける事ができなくなった。

凄まじい爆音が聞こえ、窓ガラスの割れる音が聞こえる。

強烈な熱風が肌全体に当たって、超大型台風の中にいるかのような感覚。

それは体全体に襲いかかってきて、硝子が体中に突き刺さり、激痛が走る感覚。

痛い。熱い。怖い。苦しい。辛い。

息ができない……。

そして俺は意識を失った。


目が覚めて最初に見た景色は、木目の天井だった。

そして自分がベッドの上にいる事に気が付いた。


「生き……てる……?」

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