第四十一回 初めての男手。


 思えば初めてなの。


 僕が美術部員になって、初めて男手が必要になったのは。



 それはそれは力仕事……



 百号のキャンバスを二階から一階へと、

 一人で運んだ令子れいこ先生よりも。


 毎日筋トレをしているという、

 ℮スポーツにも励んでいるという、

 千佳ちか先輩よりも、もっともっと……


 巨大な荷物?


 具体的には何なのか?



 ……それは、

 僕にもわからない。


 僕は令子先生と今日も、キャンバスに向かう……


 あらら、僕も令子先生も一糸まとわぬ姿。

 いつものスタイルだけれど……


 一階には千佳先輩も、

 それに太郎たろうさんも……いない。


 何やら二階……

 ううん、三階で作業している。


 二人は、三階で軽音部のセッティングを、

 お手伝っているのよ。――と、令子先生が告げる。


 今日も、僕の素肌はアクリル絵の具で染まるのだ。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る