第三十三回 葉月の、葉月の訪問者。


 ――それは、チャイムの音から。



 今日はパパも、

 ママもいるの。


 葉月も十日目。もう十日目なの。



 今は、列記とした夏休み。


 でも、僕はこの学園の生徒ではなく、

 期間限定の美術部員なの。


 令子れいこ先生のお墨付きなの。



 そして今日の、午前十時。


 迎えに来たの、僕のこと。

 満面な笑顔で、迎えに来てくれたの。


 玄関先へ移る。僕とパパとママ……


 笑顔の花咲く、向日葵のような、

 愛らしくても、逞しいイメージ。


 夏は、もしかしたら葉月よりも、

 令子先生の方が似合っているのかも。


 夏休みの期間中は、

 令子先生が送り迎えしてくれるということなの。



 僕の家から学園までだけど、少しでも、


 令子先生と一緒にいられる時間ができたの。令子先生が車椅子を押したなら、僅か五分ほどの道程だけれど、少しでも、大好きな令子先生とお話する時間が増えるの。



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