雨の幻想
フラワー
忘れ月
雨に濡れた鎖の上に、月は雫を垂れて座りだす。大きな声の雨の中を、その体温や匂いまで混ぜた身体の模倣で、優しい笑顔を道路に向けながら。足や手が、人のものと同じくらい温かくて、星の見えない今の時間を、手を振りながら歩いていた。レインコートを着たまま走っては、水たまりを器用に避けて遊んでいる。子供のように、子供のいない夜のなかを。沼のような細い階段を下りては、残された鉄棒の横で水を流しては、ひとりの寂しい冷たさを、誰にも気づかれずに忘れてしまう。
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