第8話 ソフィア編

さてと今回の任務の詳細は……


あたしは書類を読んだ。

惑星地球での任務。

白石葉月。女性。十六歳の救出。


「……救出?」


依頼主は、マリア・ラフライナ。

白石葉月は、夫ロイド・ラフライナと妻マリアの間にできたアルファ星人の遺伝子を持つが――

以上のような理由から――

地球で生まれた子である。


ふむふむ。

葉月ちゃんは、地球で生まれて十六年生きてきたのね。


「えっ……」


あたしは、書類を読みながら思わず声を漏らした。

アルファ星人は、十六年以上地球で滞在することができない。

高熱を発症し次第に――。


助ける為には……

「そんな事って……。アルファ星で地球適応体手術をして十年過ごす……」


あたしと年の近いの女の子の命が危ないなんて……。

たしか地球って惑星間の交流がない惑星よね。

じゃあ葉月ちゃんにとっては、凄くショックな話になるよね……。


同封された写真は、白石葉月とその家族の顔である。


「葉月ちゃん。可愛い!どんな子かなー。友達になれるかなー」


任務の為の道具として瞬間移動装置ミステル、変身装置マグナを同封する。

今作戦の協力者マスクと連携し、二人で任務遂行を行う事。


マスク?

たしか腕の良いパイロットだって名前を聞いたことあるわね。


じゃあ運転は、その人に任せたらいいわね。

あたし、宇宙船の操縦するの苦手だし。


すぐ隕石に当てて機体に穴開けちゃうのよね。

その数四十隻の宇宙船を沈めたあたしは、滅びのソフィアと言われているのよ。


マスクと宇宙船に乗って地球へ出発した。

マスクは、物凄く不愛想で無口な人だった。


「ねぇ、あなた。マスクって言うんでしょ?せっかくなんだから仲良くやりましょう」


「………………………………ああ」

「……あ、あのさ。なんか趣味とかあるの?」

「………………………………運転」

「……そ、そー……なんだー。ド、ドライブかぁ……。いっ……いいよね……」

「……好きな場所とか好きな惑星とかは?」

「………………………………コックピットが…………落ち着く」

「……へ、へぇー」


喋りにくいなぁ……。

色んな話題を振ったけど、次第にイライラしてきちゃって、扱いが雑になってきちゃったのよね。


地球に降り立つ頃には、遠慮なくズバズバ言うようになったわ。

こんな変な奴と帰りも一緒に過ごさなければならないかと思うとうんざりする。


絶対に帰りは、葉月ちゃんと友達になって仲良くお喋りしながら楽しく帰ってこよう。


あたしは固く誓った。

それで地球に着いて……。


苦労したけど、なんとか葉月ちゃんを見つけて連れて帰る事ができたの。

マスクは、まあ葉月ちゃんの彼氏を見つけた事だけは、よくやったわ。


あれでよく見つけたわね。

奇跡よ、奇跡。

地球からアルファ星への帰り道は、楽しかったなー。

念願だった葉月ちゃんとのガールズトークをたっぷりできたわ。

皆で無事にアルファ星に帰ってこれて、ホッとしたわ。

後は、葉月ちゃんの地球適応体手術が無事に成功することを祈ってるわ。

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