第25話

「えーと。というか、あの後って……」

「とりあえず、退治屋の皆さんに後のことは押し付けた」

 問いかけに、さらりと酒吞童子が答える。

「って、え……」

「あの魔術師のお嬢さんが、自作の毒を使って君の仕業に見せかけた事件については、解毒剤が出てきたし。後は、自分たちにまかせてくれってあの人たちも言ってたし」

飄々とした調子で答える酒吞童子。

「……そう……なんですか」

 これで終わった、と思っていいのだろうか。

 ひょうすべが困惑しながらそう思っていると

「一応、元凶がなくなった以上終わったと思っていいと思うよ。まあ妖怪と人間が手を取り合って大団円……ってわけにはいかないけどね。まあ後で君に謝罪をするように言ったら了承したし、後で来るんじゃない?」

 思考を読み取ったように酒吞童子が言葉を継ぐ。

 終わったといわれても、納得も爽快感もない。何とも言えぬ後味の悪さだけが残る。

「……ところで、あの……退治屋さんたちっていわゆる陰陽師とか・・・」

「いや、違うよ」

「……え?」

さらりと言われて、ひょうすべは目を丸くする。


「陰陽師って、最近のエンターテインメントじゃ、よく化け物退治の専門家として書かれてるけど、あの人たちは今でいう天文学者みたいなもんだから。そりゃ、普通の人より怪異や妖魔への対処法は心得ているだろうけど……。少なくとも戦いの専門家じゃないよ」

「そ・・・そうなんですか」

「そーだよ。俺を討伐したのだって、頼光とその四天王御一行様だし。玉藻前の討伐の時もそうだけど、陰陽師は占いで判明したことを報告するのがお仕事で、討伐は戦闘技術に長けた武士のお仕事だから。今の退治屋さんは、陰陽師の知識と武士の技術を両方受け継いでやってる……ていえば聞こえはいいけど、その分、知識も技術も中途半端なんだよね」

「は……はあ……」


(自分の討伐を口にする時も、他人事のように飄々としているな、この人……)

 そう思いながら、ひょうすべは首をひねった。



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