終天の青春
emo
第1話 もし永遠に生きられるとしたら
〈もし永遠に生きられるとしたら、生きたいと思うだろうか?〉
彼女と出会っていなければ、こんな疑問に衝突することはまずなかっただろう。
七十億の人間がいて、死と無縁の人は一人もいない。
それは人間に限らず生物全般に当てはまることだが、一つの例外を僕は知っている。
永遠に生き続けることで幸せになれるのなら価値はあるのかもしれないが、正直直結しているとは言い難い。
死を意識するからこそ生は輝き、初めて価値を得る。
終わりがあるから人は何かを残そうと足掻き続ける。
その中から得られる副産物こそ幸せではないだろうか。
お金を稼いだり、素敵な恋人と一緒になったり、やりがいのある仕事に情熱を注いだりと、そういった類だ。
ただ永遠の時を与えられ、何もない日々を蛇足に過ごし続けることは生きた死体と相違ない。
僕自身どうなのかと考えれば、幸せになれるのなら生きていたいし、なれないのならさっさと死んでしまいたい。
死という逃避行を残しておきたい意味でも、永遠の命なんて欲しくもなんともない。
最終的にはそんな答えに辿り着いた。
こんなことに悩んでしまうなんて、全くどうかしている。
でも、あの時はどうかしていたんだ。
あの青春は人生で一番美しく、そして淡く儚い初恋だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます