第788話 課税方法を変える感じです!
私とセバス、イチアが頷きあっているし、ビルたち三商人とニコライもやっぱり……という顔をしている。
「アンナ、その、なんとか課税っていうのはなんなんだい?」
わからない言葉にジョージアが代表して聞いてくる。私がいおうとしたとき、先にセバスが興奮気味に返事をした。
「累進課税ですね。アンナリーゼ様と領地を回ったときに考えたのです。元々、アンナリーゼ様の父であるフレイゼン侯爵が、領地で取り入れようとしていたそうです。今は、先行して進めてもらっているので、どのような結果になっているか教えていただいています」
「アンナの?サシャも知っているの?」
「えぇ、お兄様もこの件に関しては関わっていますよ!」
「いつの間に?」
「学生のころです。アンナリーゼ様と出会って、少ししたことでしたか?」
「そうね、秘密のお茶会でお兄様をセバスに紹介して、お兄様がお父様を紹介して、あのときは、お母様と呆れていたのよ?」
「確かに……お昼に伺ったはずなのに、日が暮れていたので、そろそろお暇しますといったら、アンナリーゼ様が、よくお腹がすかないわね?と言うんですよ」
「セバス……?」
「もしかして、1日以上、話し込んでいたということではあるまいな?」
「まさにそうです。ノクト様、イチアさん」
照れたように笑うセバスにみなが呆然としたり苦笑いをしたりとそれぞれ反応を示す。
「私が、セバスにお兄様を紹介したのだけど……たぶん、セバスは私とよりお兄様との方が交流があると思うわ!ニコライもそうでしょ?」
「えぇ、そうです。サシャ様とは、季節の手紙だけでなく、新しい話があれば、お互いに教え合っています。貴族で得られる情報と平民で得られる情報は必ずしも同じではありませんから。同じ事柄でも、全く違う味方をする場合もあります。基本的には、アンナリーゼ様から受けた情報提供を元に、平民……ハニーアンバー店を中心に情報を集め、サシャ様と答え合わせをしている感じですね!」
「ここに来て、サシャもアンバー領の改革に関わっているとは……しかしながら、サシャとの繋がりがあるとは、思いもよらなかったよ」
「お兄様の話は、基本的にお兄様がジョージア様にしているものだと思っていましたが、そうではなかったのですね」
「サシャとのやり取りは、基本的にアンナのことばかりだよ。恋人かというくらい、手紙にはアンナはどうだ?とかアンナは今度は何をするのか?とか……アンナ以外のことが書いてあるとしたら、アンジェラとネイト、クリスとフランのことばかりで、セバスやニコライのようなやり取りなんて、一度もしたことがない!」
「……お兄様らしいですけど、もう少し、ジョージア様にも情報共有が必要だと思いますね……」
はぁ……とため息をついていると、ノクトがニヤつく。なんだか、茶化したいと顔に書いてあるのだけど……と見つめ返したら、案の定だ。
「サシャお兄様は、妹離れができていないのか?」
「違いますよ!アンナリーゼ様が兄離れ出来ていないのですよ?」
「セバス!」
「それは、初耳!」
「兄離れは出来ています!小さいアンナではないのですから!みんなして私をからかいますけど……私は、自身の家族が大好きですから、いつまでたっても離れがたいのは本当です!アンジェラが、もう少し大きくなったら、しばらく、実家に帰りたいなとも思っているのですよ!」
「えっ?それって……」
焦るジョージアではあるが、別に怒って実家に帰るわけではない。
「実家に帰ると言っても、私のかわいい甥であるクリストフランに会いたいのです!小さいときに会っただけなので……」
「アンナって、意外と子どもが好きだよね?」
「普通ですよ?アンジェラは可愛いですし、ジョージもネイトも可愛いです。そこにクリスとフランはエリザベスの子どもなのですよ!可愛くないわけはありませんよね?」
熱弁してしまったが、周りが引いているのがわかるので、セバスに話を戻すことにした。
「話がそれていますが、アンバー領は、思った以上にたくさんの人の支援で成り立っています。ジョージア様は、その少しでも知っていてくれると、僕らもやりがいがでますね。
アンナリーゼ様が始めたことでも、アンナリーゼ様の人柄に集まった人でも、前をくじけずにあゆみ続けるアンナリーゼ様が、真っすぐ見据える領地像がしっかりしているからこそ、我先にと手を差し伸べてくれるのです」
「セバスのいうことは、よくわかったよ。何にも考えずに、管理簿だけで領地を纏めようとしていた愚かな俺は、もっとみなの話に耳を傾けるべきなんだな。
それで、累進課税というのは、どういうことなのだ?」
「端的にいうと、お金をたくさん稼いでいる人から、税金をたくさん取りましょう。また、少ない人からは、一定額の最低税の納付をお願いしましょうって話です。
今までは、大人も子どもも老人も一定の額の税を納付してもらっていましたが、働く能力のない子、赤子などのに税金をかけるべきではないと判断しました」
「不平不満はないのかい?」
「多少はあると思います。この領地で1番収入があるのは、そこの三商人とニコライとなります。アンナリーゼ様たち領主に関しては、納税義務がないので」
「なるほど……三商人はその話を聞いて、どう思った?不公平ではないか?と思わなかったのか?」
三人が顔を合わせて苦笑いをした。思うところがないわけではない。胸におさめていた話をしてもいいかと、私たちを見てきた。
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