小さくしょぼい、ボクの神様
酸味
序文
今からもう、六年くらいも昔。
小学校三年生か四年生の頃に、ボクは兄と二人きりで東北地方の東側を旅行をした。福島県、岩手県、青森県。……あれ、どうしてボクらは宮城県を飛ばしたんだろうか。その時のことを久々に思い返してみると可笑しい点に気付いてしまったが、それは一度おいておこう。
主に巡ったのは弘前城と、中尊寺と、鶴ヶ城の三つ。記憶が間違ってなければ、確かその頃の大河ドラマが会津藩のとある女性を主題としたものであったから、鶴ヶ城をめぐり、その他二つは正直おまけとして見にいったのだと思う。
……いや、だって小学校中学年の男の子だったボクが「うわーっ! 金色堂だー!」なんて言って飛び跳ねて喜ぶわけがないじゃないか。正直仏閣なんぞに興味はなかったし、信心深い訳もなく、それどころか無神論者かつ少々精神の不安定で厭世的な人間だったのだ。
六年前だということもあるし、そもそもあまり好奇心の希薄なボクにとっては、あまり面白くもない旅行だったから、記憶が曖昧なのは仕方がないだろう。
とはいえ、この面白くもなかったこの六年前の旅行も、とある一点についてはとても印象に残っていることがあった。
……でなければ、こんな文章に書き連ねようとはしないのだが。
しかし、思いのほかこの旅行と、その後のとあるものを巡った一連の出来事が、意外に周囲の友人に話してみると好評だったことから一度文に書き起こしておこうと思ったのだ。
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