いまの今まで順調であったのに、トラブルが発生した。


「なぁ和哉、バットとグローブはどうした?」




バットとグローブ?




和哉士郎は畳上に広がる遊び道具に視線を這わせて探すが……ない。




忘れた⁉︎




内心頭を抱えたい気持ちになったが、『兄ちゃん兄ちゃん、だいぶ古いけど外の倉庫にバッドとグローブあるよ!』と言う和哉のその声に助けられた。


「え、えぇっと、持ってくるの忘れちゃった。父さん、昔つかってたバットとグローブとかない?」


なんとか嘘がばれないように取り繕って誤魔化し、外の倉庫に誘導できるように取り計らう。


「バットとグローブなぁ……」


腕を組んでなかなか思い出しそうにない武雄の反応に、士郎は思い切って言うことにした。


「外で遊ぶやつだし、あそこに入ってそうじゃない?」と士郎は庭のふるさびれた倉庫を指差した。


「見てみるか」


武雄は膝を立てて立ち上がり、三人で倉庫へ向かった。


グローブは和哉の言ったとおり倉庫にあった。

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