就寝前のことである。


「本当に、寝るのかい?」


武雄は思わず他人行儀になって聞いてしまった。それもそのはず、武雄と和哉青年が一緒の布団で寝ることになったのだから。おそらく和哉青年が冗談を言っているのだろうとふたつ返事で武雄は最初は聞き入れたのだが、まさか本当に一緒に寝るとは思っていなかったのである。


「俺、父さんと一緒に寝たい気分なんだ」


「そう……か」


武雄は驚き少し躊躇ためらったが、不思議と嫌ではなかったので向かい合って眠ることになった。だいの大人が一つの布団で眠るのだから、かなり窮屈きゅうくつであったが……。


その夜、武雄は寝不足になるかもしれないと思っていたが、決してそんなことはなく、まるで、和哉の匂いに包まれて寝ているような安心感に包まれ、深い深い眠りについたのだった。

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