あいつ。

「心海〜、おはよ〜」

っていつも寝癖たってるあいつ。

「ん、」

とてきとうに返事する、そして音楽を聞き始める。

「心海、心海、今日は何きいてるの?」

「え、これだけど。」

「聞かせて〜!」

ほんとに自由で不思議なやつだった。


でもいつも会えるのを楽しみにしている自分も居て。


授業中、暇であいつの事を見ていたら目が合って慌てて前を向く。

ドキッと胸がなった気がした。

この感情はなんなんだ?


不思議なあいつによって引き出される新しい感情が分からなくて、腹が立って時間が経てば忘れるって思って、寝て残りの授業時間を過ごした。


考えれば考えるほど分からなくなりそうで。

授業終わり、あいつが話しかけてきた。

「心海〜?」

「なに、」

ニコニコするあいつを見ると、ドキッとまた胸が鳴る。頼むから話しかけないで。

「今日昼空いてる〜?」

「ん、」

「よかった〜!一緒に購買いこーよ!」

「え、まぁ、いいよ。わかった。」

普通を装って、でもドキドキしている。

あいつは気付くのかすら分かんないけど。

気付かなくてもいいや。


ちょっと嬉しかった。もうすぐで昼だな、なんて考えた。

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