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れのんNON
第1話 彼女の世界
「こんにち和同開珎!俺の名前は田中太郎!名前の例として書かれてそうだが本当だ!みんなよろしクリスマス🎄〜」
転校初日の挨拶は完璧に決まった...訳がなく教室はどう反応していいか分からず静まりかえっていた 俺が入ってくる直前まではガヤガヤ騒いでいたのに 「えぇ..田中の席は...おっ 教卓の目の前が空いてるな よしそこだ。隣のやつは色々教えてやること いいな」おいおい 転校生の席ってのは窓側の1番後ろって相場が決まってんじゃなかったっけ そこで隣にはかわいい子がいて恋におちるテンプレが...いや待てよ教卓の前でも隣にはかわいい子がいる可能性が...
「よぉ...ろ...しく」「よろしくな!」
両隣男!左のやつは大人しそうな文化系で右のやつは交流関係広そうなスポーツ系!
「よろしく...」
キーンコーンカーンコカーン
...?変なチャイムだな
とりあえず今は昼休みだ 五分休みごとにいろんな奴が話しかけて来てくれる 隣の文化系君ともスポーツ系君ともいい感じだしみんないいやつだ
「ここのクラスの女子って結構レベル高いと思わないか太郎?」
「それな!しかもみんな俺に話しかけて来てくれるし...ちなみに加藤お前は彼女とかいんの?」
加藤はスポーツ系君だ
「聞いて驚くなよ 神崎には超かわいい彼女がいんだぜ」
「やめてよ加藤!」
神崎は文化系君だ この二人と今は昼飯を食っている
「まじかよ神崎!いいな 俺も欲しい」
「まぁこっから頑張りゃ作れると思うぜ!それでよ!...」
「ちょっとあなた達!授業5分前よ!早く食べてしまいなさい!」
なんだこの絵に描いたような委員長キャラ
「すぐ食うって委員長!」
本当に委員長だった
委員長は俺らを注意するなりどこかに行った
しかし顔は結構可愛かった
「神崎お前の彼女もうちょっと静かにさせてくれないかな」
「えぇ!あれが神崎の彼女?」
「まぁな」
意外だ 神崎は大人しそうだから彼女も大人しそうだったのに...
5時間目、6時間目が終わりついに放課後
さて誰と帰るかな...
「ごめん部活が!」「ごめんねー生徒会があって...」「フレミング左手の法則研究会があるの...」なんか変なの混じってた気がするがことごとく断られた ちなみに神崎と加藤も部活 仕方がない一人で帰るか
何か俺も部活に入ろうかな しかし運動は得意ではない 見るのは好きなんだけどね マネージャー...いや文化部も...
とか考えながら歩いていると
「うわっ!」
つまずいて転んだ
「大丈夫?」
「あぁ ありがと...」
手を差し伸べていたのはいかにもスポーツやってそうな少し日に焼けたショートの子
「膝から血が出てる...これを使って」
彼女が取り出したのはキャラものの絆創膏
大人っぽそうな雰囲気なのにどこか幼い
「この絆創膏かわいいな ありがとう えっと...」
「海原よ海原蘭」
「えっと俺は田中太郎!例として使われがちだが...」
「うん知ってる 同じクラスだから」
「えっ!そうなの!じゃあこれからよろしくね!」
「うんよろしく じゃあ」
「待って!一緒に帰らない?」
「いいけど...」
実は俺はこの海原蘭が同じクラスだと言うことは知っていた でもなぜ知らないフリをしたかって なんでだろうな でもそういうことなんだろな多分
「海原さんはなんか部活やってる?」
「蘭でいいわよ蘭で 一応陸上部なんだけど最近はあんまり出れてない」
「どうして」
「えっと...怪我しててね...それで見てるだけなのもあれだし」
嘘だ 根拠はないがそんなことを思った
「あの学校坂がキツくないですか 今は夏だし学校着く頃には汗ダクダクになっちまって
魔法で瞬間移動とかできませんかね!?」
なんとなく重い雰囲気になっていたから冗談を言った でも...
「太郎君さ...魔法ってあると思う?」
なんだろう茶化してはダメな気がする
「ないと思いますけどないと証明するのはできないし...悪魔の証明ですよ」
「じゃあ私がその悪魔だったら?」
「つまり蘭は魔法が使えるってことだな 見せてくれよその魔法とやらを」
「いいよ じゃあ私の魔法であなたの怪我を治してあげる」
「それじゃ頼む」
魔法なんてないと思いつつも興味はある
それに蘭が言ってるんだしな
「はぁ....」
集中しながら海原蘭はクラウチングスタートのポーズを取り出した
てっきり怪我をしたところに手をかざして直す(魔法が本当にあるなら)と思ったのだが...
こいつまさか走って...
海原蘭は走り出した 速い...素人の俺でも分かるほど美しいフォーム 地面に足がついた瞬間に足が離れている だがとても魔法とは呼べない それどころか俺の怪我がどうやったら治るというのだろうか
「おいこれのどこが魔法なんだ!」
海原蘭は風を纏いながら走っている
いやちょっと待て...海原蘭は"どこ"を走っているんだ さっきから同じ場所を...
その時になってようやく気づいた
世界がおかしくなっていることに
周りを見てみると車が全部逆方向に走っているしかもバックで 通行人も後ろ歩き
「よるーせむいたぐすうも」
「でんへいたがえかむりくおのもどこ」
主婦達は何を言っている?
もしかして...いや...そんな馬鹿な...
「太郎 膝見てみ」
そこには可愛らしいキャラクターの絆創膏が...ない 血も出てない 傷が塞がっている...というよりもともと何もなかった感じ
「蘭は時間を戻せるスタンド使いだったのか!」興奮して訳のわからないことを言ってしまう
「スタンドではない...多分 私は全力で走ることでその分時間を戻せる"魔法"が使える
つまり魔法は存在するの」
「これを知ってるのは?」
「私とあなた」
「なんで俺以外のやつには言ってないんだ」
「この力を誰かの前で使ったことは何度かあるけど観測できたのはあなたが初めてよ」
「えっ」
「多分あなたより私の方が興奮してる...やった!誰かに見てもらえた!私の苦しみを知ってくれる人がようやく現れた!やったやった!わざわざ転校生をつけて来た甲斐があった!」
...?!
キャラが崩壊してる気がするが...でもこっちが本当の"海原蘭"なのだろう
「田中太郎!お前に頼がある!」
「なんだ?」
「私のこの魔法 なくすのを手伝って!」
俺と海原蘭の物語はこうして始まった
続く!
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