魔法

国へ行くため彼女たちの後ろをついて行っていると、羽音が聞こえた。

「全員構えて、トンボよ」

真面目な少女が他の少女に号令を出す。

トンボ、それは平和だった頃のトンボとは違い全長は3mを優に超える。

その大きな身体を支えるため羽の枚数と足の本数が増えていて、顎は鋭く、大きく発達している。

地球の生き物は放射線や軍用に改造され、昔より凶悪に、凶暴になってしまってた。

空を見上げればトンボがひい、ふう、みい、3匹。

「ちっ、空にいられちゃあ、あたしの攻撃はとどかねぇ」

強気の少女の攻撃方法はその爪から繰り出される斬撃だ、近づいてこなければ当たることはない。

でも、

「あのトンボも近づかなきゃ私たちに攻撃してこれないんじゃ」

「はぁ何言ってんだお前、あいつらは遠距離"魔法"があるだろ!」

え、"魔法"?なにそのファンタジー、そんな知識はない、出てこない。

「"魔法"ってなんですか…?」

「え、え、し、知らないんですか」

困惑気に気弱な少女が言う、どうやら魔法は常識らしい、え、じゃあラノベみたいにステータスとかあるのかな。

「きっと彼女を作ったネクロマンサーの仕業でしょう」

「説明は後だ!目の前のクソトンボ共を殺すぞ!」


前方に気の強い少女、後方に気弱な少女と真面目な少女が位置とる。

私はその後ろで拳銃を構えながらトンボに目を奪われたいた。

気弱な少女がライフルを構え、そして銃声が轟き的確にトンボの胴体に打ち当てる。だがトンボの外骨格に阻まれうまく効いていない。

「ひいん、やっぱりジャックちゃんの爪じゃないとだめだよう」

「ナナ、羽を狙って撃ち落とせ!」

ええと、強気の子がジャックで弱気な子がナナかな、初めて名前を知ったなぁ。

トンボ、えーとトンボAの前に魔法陣のようなものが現れる。というか魔法陣だ!あれ!

すごい、本当に魔法があるんだ、私にも使えるかなぁ。

「おい!ぼさっとしてないでお前も手伝え!」

「ひゃ!はい!」

注意されてしまった、まぁ戦闘中に敵の攻撃の動作をぼーっとしてるのが悪いよね。

「来ますよ!」

前方にいるジャックが大きく下がり、後方の2人と同じ位置に立つ。

「ヒナ!」

「『バリア』!」

真面目な少女、ヒナが手を前にかざしそう宣言すると薄い淡い青色の壁が現れた。

それと同時にトンボAが魔法を放つ、放ったのは風の塊のようなものだった。

それはこちらに飛んでくるがバリアに阻まれ消えてしまう、バリアは粉々に壊れ、風の塊は辺りに散って私の元まで届いた。

私は拳銃をトンボAに向ける、弾丸は外骨格で阻まれてしまう、じゃあどうするか。

う~んネクロマンサーの知識よ!出てこーい!

あ、出てきた、え~と弱点は体内、いやそのくらい分かるわ!だれだって体内は柔らかいし繊細でしょ!

「あ、口!口の中狙えばいいのか」

魔法を放って油断しているのか動けないのか、その場にホバリングするトンボの口に標準を合わせる。

牙のせいで的が小さいがいけるいける。

1発目牙に弾かれる、2発目複眼に当たるがそこも堅いのか効き目なし。

3発目口内に放った銃弾が吸い込まれる。

するとトンボAの脳に到達したのか、バランスを崩してふらふらと地面に落下していった。

地面に衝突するまでの間にジャックが駆け出す。

大きく地面を踏みしめ跳ぶ、まだ落下途中のトンボAを狙い、右手をそらし引き裂いた。

6等分になったトンボAは痙攣すると沈黙した。

「おい、ええとよそ者とナナ!今みたいに撃ち落としてくれ!」

それぞれ銃を構え狙いをすます。

仲間がやられたことに対して起こったのか威嚇の甲高い金属音のような声を出した。

トンボBが怒りに任せてジャックに突っ込んでいく。

ジャックは横に避け爪で切り裂いた。

切り裂かれ抉れたトンボBは体液をばらまき動かなくなった。

あっけない、それだけジャックの鉄の爪が鋭く硬く腕の力も強いのだろう。

「ライフルより強いって…」

「ジャックは軍用に作られたアンデッドなのよ、そのお陰で戦闘力が高いの」

軍用ね、それは強いや。

そうしている間にナナが私と同じようにトンボCの口に銃弾を撃ち込み落とした。

ジャックはトンボBを足蹴に飛びトンボCを通り過ぎながら引き裂く。

「おおー」

そのお見事さに拍手をするが、油断するなと怒られてしまった。

私たちはほかに危険がないか確かめると、集まった。どうやら私に魔法について説明してくれるらしい。


話を聞き終わって国へ向かう。

魔法についてまとめると、

魔法とは、地球上で新たに発見された魔粒子を用いて自然の法則に働きかける技術である。

魔粒子の使い方は人間が世代交代するにつれ自然と使えるようになったらしい。

魔粒子を用いた魔法を使えば原子単位で物を動かせるらしく。

何もない空間から水や火を出せるそうだ。

私にも使えるかどうか聞いたら、アンデッドには使える個体と使えない個体があるらしい。

アンデッドは人間と違い魔粒子に働きかけるための装置が必要らしく、どういった原理で装置が働きかけるかは彼女たちは知らないらしい。

また、装置によっても精度が違くピンキリなんだって。

「な、なんせ軍事機密でしたから、今でも一部のネクロマンサーしか知らないらしいです」

「私が使えるのはたまたま軍事工場にいったときその装置を見つけたからよ」

「おかげで戦闘が楽になったんだよなぁ」

装置には体に装備できるタイプと体内に埋め込むタイプがあるらしい。

ヒナが着けているのは装備できるタイプで腕輪型らしい。

見せてもらっても鉄の輪にしか見えなかった。

「でもなんでこんなのが装置だってわかったの?」

「重要そうにセキュリティが固められてたんだよ、それであたしたちはピンときたのさ」

「で、でも普通に魔粒子作用装置ってかいてあったよね」

「ネーミングセンスがねぇよな!もっとかっこよくすればいいのに!」

ネーミングはいいとして、装置ね、私にも搭載されてるのかなぁ。

使いたいなぁ魔法、それが顔に出ていたのか、国につけば調べられると教えてくれた。

やったぁ!

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