第128話 風雲オーク城 後編
「さて、それじゃあ、砦作りを再開しましょう!」
オクタ率いる土木組のオーク達を従え、ヒロの砦作りが再開された。
「オクタさん、みんなこれから皆さんに二手に分かれてもらい、切り倒した木の加工と砦の壁作りをお願いします」
「どうするべ〜?」
するとヒロはアイテム袋から、大量に切り倒した木を、長さ毎に分けて地面に置いていく。
「木の枝は全て切り取ってください。長い木の先はこんな風に尖らせて、ほしいです」
するとヒロが腰に差したショートソードを抜き、木の先を切り尖らせて見せる。
「分かったべ〜。他は何するべ〜?」
「先を尖らした木を、地面に打ち立てます。立てる位置は僕が印を付けていきますから、ますば切り倒した木の加工をお願いします」
「よっしゃ、みんなやるべ〜」
命令が有れば即行動のオーク達……ヒロのマインドコントロールもバッチリ決まり、ジークポークの掛け声の元、次々と連携して木を加工していく。
その姿はまるで、缶詰工場で働くベテラン工員の手捌きのように、的確に素早く加工していく。
オーク達が木材を加工する中、ヒロは壁の支柱となる柱を立てる場所に印を付け始めていた。
ヒロの目指す壁は、丸太を横にして積み上げる簡単な物だった。3本分の丸太を並べて厚みを出し、壁の上に乗って弓などの投擲武器で攻撃できる壁だ。
アイテム袋内で細かく分類した木の長さを、計算しながら支柱の立てる位置をヒロは次々と決めていく。
30分程で支柱の立てる位置に印を付け終わると、今度はアイテム袋から太い切り倒した木を一本取り出した。
「さて、次は支柱を立てるハンマー作りですが、小学生の頃、図工で作った木槌の要領で上手くいきますかね……」
ヒロは子供の頃に作ったハンマー作りを思い出しながら杭打ち用のハンマーを作り始める。
小学生が図工で、なんで木槌なんかを作ったのかと言うと……無論、当時ハマッていたゲーム『アイスクライバー』に起因する。
クラスメイトが椅子や机、本棚を作る中……ヒロは等身大の木槌を作っていた!
しかもハンマー部分が用意された木板では不可能と判断するや、学校の近くにあった木材所に赴き、ハンマー部分の木材を分けて貰い、見事な木槌を完成させて先生に提出していた。
先生から受けた評価は……『もっと実用的な物を作りましょう』だった。
当時の試行錯誤した経験と、その後に学んだ知識を総動員し、黙々と巨大な杭打ちハンマーを作成するヒロ。
ショートソードに闘気をまとわせ、太い幹を、金太郎飴の如くサクサク切り、大まかに整形していく。
同じく闘気をまとわしたナイフで、ハンマーの中心部分を器用に掘って穴を空けていく。
最後に同じく穴の大きさに整形した太い木の枝を差し込み、手製のハンマーが完成した。
「まあまあですかね。何本か予備も合わせて作りますか」
杭打ちハンマーを増産するヒロ……七本目のハンマーを作成した所で、オクタが声を掛けてきた。
「ジークポークたべ〜、大体加工が終わったべ〜」
「おお! 早い! 素晴らしいです。同志オクタ! それじゃあ、杭打ちを始めましょう」
ヒロがオーク達を集めて、杭打ちの説明を始めると……オーク達がノリノリで話に喰いついてくる。
「以上が杭打ちの方法ですが、やれますか?」
「多分いけるだ〜」
「おれ、一番上に登ってみたい!」
「俺は高いとがダメだから土台になるか」
「力ならある。任しておけ!」
「じゃあ、俺は杭が倒れないように支えてるべ」
オーク達がヒロの説明から、自分のポジションを決め、チームを作る。
杭打ちの場所に集まるオーク達……印を付けた箇所に先を尖らした杭を持ち、固定するオーク二人を中心に、皆が円陣を組む。
5重の円陣を組んだオーク達、柱に1番近いオーク達が四つん這いになりとその背に、さらに別のオークが四つん這いで乗っかる。
三段目からはしゃがみ込み隣のオークと肩を抱き合う。
四段、五段目も同じく肩を抱き合いなしゃがみ込み、最後に巨大なハンマーを持ったヒロが最上段に乗る。
「ゆっくり行きますよ! 三段目から順にタイミングを合わせて立ち上がって下さい!」
「ジーク! ポーク!」
気合を入れ、ジークポークの掛け声で、オーク達が力を込めて立ち上がり、ヒロの視界が一段高くなる。
「ジーク! ポーク!」
器用にバランスをとりながら順番に立ち上がるオーク達。
その掛け声は、某栄養ドリンク飲料のCMが如く、気合が入っていた。
「ジーク! ポーク!」
ヒロも最上段で上手くバランスをとりながら、無駄に気合を入れて最後に立ち上がった!
そう、これは小学生の時に誰もが行った組み体操……危険度Maxのタワーと呼ばれる技だった。
高さ8mを超えるこの技は、小学生には危険な技として、今や封印された幻の技であった。
だが屈強なオーク戦士達は、やり遂げた!
しっかりと立ち上がったタワーは、最上段でヒロが踏ん張っても微動だにしない!
「流石オークの戦士は鍛え方が違いますね!地面を歩くかの如き頑強です。さて、あとはハンマーの出来次第ですが……」
ヒロはアイテム袋に入れていたハンマーを取り出すと、大きく放り被って木の頭に叩きつけた!
『ドシン』と地面にハンマーの衝撃が伝わり、数メートル下の杭の部分が地面に沈む。
「強度はマズマズ、行けそうですね」
ヒロが再び振りかぶり、2撃目を振り下ろす!
レベルアップによりステータスが上がっているヒロの一撃は、常人の域を越え始めており、たった2撃で木が地面に固定されてしまう。
ヒロが試しに腕で強く押してみるが、木はビクともしない。
「この位で大丈夫かな? 良し、一本目終わりです!」
その掛け声に、立ち上がる時とは別に上から順にしゃがみ始め、ヒロは地上へと帰還した。
「今の要領で木を立てまくります。同志オクタ組と僕の組に分かれましょう」
ヒロは手製のハンマーをオクタに数本渡し、二手に分かれて木を立てまくる!
オーク村に現れた奇怪なツインオークタワーが立ち上がった時、木の棒が次々と地面に突き立てられていく!
響くハンマーの音とジークポークの掛け声……いつ終わるともしれない協奏曲も、2時間を超えた時、ついに終わりを迎えた。
「ふ〜、お疲れ様です。この後の壁作りは僕やりますか、皆さんは少し休憩したら、カイザーさんの水路作りに再び合流をお願いします」
「分かったべ〜、同志ヒロも休憩するべ?」
「僕はハンマーを振るっていただけですから、まだ休憩はいりませんよ。タワーの足場になったみんなを休ませて上げてください」
「無理するなべ〜」
そう言うてオクタが座り込み休憩しているオーク達の輪に入っていく。
「さてと、あと少しですかね。日が暮れる前までに壁を作り終えたいですし、少しペースを上げてきましょう」
積み重ねた大量に加工した残りの丸太を、アイテム袋に全て収納したヒロは、アイテム袋の中で丸太の長さと太さごとに細かくソートして並び替える。
そして城壁の石を組み上げた時よりも早く、アイテム袋のメニューを操作して、丸太を杭と杭の間に積み重ねる。
メニュー画面を操作する右手が残像を残し、左手で丸太を出す方向と向きを指定しながら、次々と丸太で壁を作ってゆく!
側から見ると奇妙を通り越し、気持ち悪い動きで壁を作るヒロ……遠巻きに見ていた休憩中のオーク達はそんなヒロを見て、ある意味近寄ってはならない、見なかった事にしようと、水路作り組の作業を手伝うため、ゾロゾロとその場を後にした。
「ふ〜、完成です!」
一人残されたヒロが、黙々と壁を作り始めて2時間が経過した時、ついに壁は完成した!
丸太を積み重ねたあと小石を混ぜた土で盛り土を施し、軽く固めることでヒロが何人乗っても乗っても崩れない、しっかりとした足場の壁ができあがっていた。
「これで壁に登って矢を射るのも問題なさそうですね。我ながら、なかなかの力作ですよ。石垣があるせいか、オーク砦と言うよりも、オーク城の方がしっくりきますね」
巨大な三角形の壁を作り上げたヒロは、その完成度に満足していると、いつの間にかカイザー率いる水路組が堀にまで水路を繋げていた事に気がついた。
「お、もう半分掘り抜きましたか? オーク達はみんな仕事が早くて助かります。あとは再び水を川に戻す水路を作れば、ほぼ完成ですかね」
「ずいぶんと時間が余ってしまいましたね……時間はまだありますし、いくつか罠でも仕込んでおきましょう。フッフッフッフッ、アッハッハッハッハッハッ」
ヒロは、黒い顔をしながら罠を作り始める。それはかつて遊んだゲーム……『風雲タカシ城』で出てきたステージを模した罠……嬉々として作るヒロの高笑いを、沈みゆく夕日は聞いていたのであった。
…………
「斥候の者から伝令です! この先にてオークの村を発見。ですが、数十匹のオークが徘徊しているだけで他にオークは見えず……」
「見えず、その先はどうした?」
伝令が報告を読み上げると、そこで言葉を止めてしまう……報告を受けていたオーク討伐隊指揮官ドワルドが、その先の報告を促した。
「村の入り口からおびただしい量の血が飛び散り、そこら中に肉片や骨が……散乱しているとの報告です!」
「どうやらヒロの情報通り、共喰いが起こっているようね。良かったわ」
「良し、これで数を半分くらいまで減らしてくれていれば勝機はあるぞ! ナータ状況が変わった。確実にオークヒーローを仕留めるために、お前は温存する。冒険者と王国の精鋭を全面に雑魚オークを蹴散らす!」
「いいのドワルド指揮官? 王国軍に被害が出るわよ?」
「馬鹿にするな、ワシとてそれくらいの判断はできるわ! 雑魚オークをいくら倒そうが本命のオークヒーローを倒せねば意味がないのだ。倒せる確率が上がるなら、そうするのは当たり前だ!」
「ふっふっふっ、一蓮托生って事ね。いいわ。オークヒーローは私が必ず倒してあげる」
「そうしてくれ、伝令! 精鋭を全面に出し雑魚オークを蹴散らせ!」
ボンボン貴族の三男坊ドワルドがナターシャに命令を飛ばす。
オークヒーローの強さを計る試金石として、死ぬことを命じられたオーク討伐隊……いなくても王国軍にとって痛手にならない人選として、可もなく不可でもないドワルドが指揮官として選ばれてしまった。
使えない貴族と罵られようが、仮にも王国軍の中で、10年以上も1000人隊長の席に身を置いた者として、最低限の戦力比較と判断くらいはついていた。
命令はすぐに飛ばされ、王国軍と冒険者ギルドの精鋭を前面に、オーク村へと討伐隊がついに足を踏み入れる。
村の中は閑散としており、情報通りなら500匹を超えるオークがいたはずだが、その姿はない。
その代わりに、地面の至る所に血が飛び散り、何かの身体だったものがそこら中に散らばっていた。
討伐隊の者は皆がその光景に目を背け、鼻を詰まむ。
むせかえる様な血の匂いが辺りを包み込み、凄惨な情景が討伐隊の不安を煽る。
「うへ〜、酷い匂いだな。オーク達が飢え狂って共食いをしたって聞いて喜んだが、いざその現場を見てみたら食い散らかされた肉片と血がそこら中に飛び散ってて、酷え状況だな」
「ああ、しかしこれだけのオークが共食いするなんて、何が起こっているんだ?」
「分からん。だが何にしてもオークの数が減っているなら嬉しい悲鳴だよ」
「違いない。さて斥候の話だと村を徘徊しているオークがいるみたいだが、どこにいるんだ?」
討伐隊の精鋭部隊が周りを警戒しながら慎重に村の中を進んで行くと……前方に数匹のオークがうずくまり、何かをしている姿が見えた。
王国軍兵士とベテラン冒険者達が武器を手に警戒する。
100人からなる精鋭部隊が、ジリジリとオークに近づく。
「チッ! みんなビビり過ぎだろ。噂のオークヒーローの眷属強加スキルがあったとしても、所詮オークだぞ? 強いと言ってもたかが知れてる」
一人の兵士が軽口を叩き、不意に一人で先行はしてうずくまっているオーク達に不用意に近づいて行く。
3匹のオークが、一心不乱に何かを舐めている姿を見て兵士は息を飲む。
「一体なにをしているんだ?」
一心不乱に何かを舐めるオーク少しずつ近づく勇気ある兵士。そんな彼が武器を構えながらオークが何を舐めているのか確かめようと、オークの手元を見た時、彼は恐怖した……。
オーク達は3匹ともうずくまり、一心不乱に自分の武器である槍の穂先を舌でベロベロ舐めていた!
恍惚の表情で舐めるオーク達は……涎を垂れ流し、ベトベトになった槍を一心不乱に舐めまくっていた。
「く、狂ってやがる!」
兵士が声を出した瞬間、三体のオークが一斉に振り向き、兵士に向かって飛びかかって来た!
「な?」
それが兵士の発した最後の言葉だった!
それはまるで某人気ゾンビゲームの1作目……『バイオハワードさん』に出てくる冒頭で始めて出会うゾンビみたいな動きであった!
突然の振り向きからの猛ダッシュによる接近で、兵士は瞬く間に押し倒され、手に持った槍で滅多刺しにされる。
声をあげる暇なく殺される兵士……周りにいた兵士達は、唖然としてその様子を見ていた。
荒い息を吐くオーク達……その手に持つ血塗られた槍を再びペロペロと舐め始める。
その目は凶器に駆られ、理性をなくした振る舞いに兵士達は恐怖してしまった。
「な、なんだ! なんであのオーク達は武器を舐めているんだ! わけが分からん!」
「ブヒィィ!」
そしてオーク達が雄叫びを上げると、兵士達に向かって走り出した!
とっさな事に、盾を持つ兵士の防御が遅れ、その喉元に槍が突き刺さる。
盾に飛び乗り兵士の身体を地面に蹴り倒すと、その上に飛び乗り、武器をペロペロしながら周りの見回す。
別の意味で狂っているオーク……武器を舐める意味は分からないがとにかくヤバい! オークとは思えない強さと狂気が滲み出ていた。
だが兵士達も恐怖しているだけではなかった。オーク達を倒すべく四方から同時に攻撃するため、円陣を組んでオーク達を囲いこむ。
「油断するな! 3匹だけとはいえ強いぞ! 数で攻めろ! 囲め!」
「ブヒィィィブヒィィ!」
だがそれがさらなる混乱に拍車を掛けることになる。
オークの声に反応して、円陣を組んだ外側から次々とオークの声が上がり、武器を舐めながら別のオーク達が走り寄ってきたのだ。
全てのオークが狂っていた!
50を超える狂えるオークが円陣の外側の兵士に次々と襲い掛かり、円陣の中にいたオーク達もまた、中から狂撃を繰り出し暴れ回る。
瞬く間に乱戦に持ち込まれるオーク討伐隊!
100人の精鋭部隊が、瞬く間にその数を減らし、狂えるオークの狂槍に次々と倒されていく。
対して狂えるオークはまだ40匹以上残っていた。
そして精鋭部隊の半数が討たれた時、怒声が戦場に響き渡る!
「全員死にたくなければ、その場に伏せろ!」
その瞬間、戦場にいた全ての兵士たちがしゃがみ込み、言葉が理解できないオークだけが立っていた。
兵士ゆえに戦場での命令と号令は絶対! 訓練により染み付いた癖が兵士達の窮地を救う。
一斉にしゃがんだ兵士の動きに、オーク達は一瞬気を取られ立ちつくしていた。そしてオーク以外にその戦場に立つ者がもう一人……。
「唸れ千鞭! 全てを切り裂け!」
ギルドマスターナターシャが渾身の力を込めて巨大な剣を横凪に払うと、巨大な剣が千を超える刃を持つ鞭へと変化し、剣先が遠心力の力で伸びていく。
蛇腹剣と呼ばれる特殊な剣をナターシャが振るっていた!
魔力によって強加された刃と魔力が込めらられたワイヤーにより、円を描く軌道で立ち尽くしていたオーク達を瞬く間に真っ二つにしていく。
30匹以上いたオーク達が一瞬にして倒されていた。
ナターシャが手首返すと、鞭状態の剣が瞬時に手元に戻り元の大剣へとその姿を変える。
「おおおぉぉぉ!」
「さ、さすが勇者の末裔、元A級冒険者ナータだ!」
「これならオークヒーローに勝てるんじゃないのか?」
討伐隊の皆が、ナターシャの力を目の当たりにして歓喜する。
「流石だなナータ。力を温存しておきたかったが、仕方がない。あのままでは被害が増大していた。しかしよくあんな手を思い付いたな?」
「昨日の夜襲でオーク達が使っていた手を逆手に取っただけよ。向こうの言葉は分からないけど、私たちの言葉もオークには分からない」
「なるほどな。よし周りを警戒せよ。被害状況を確認しろ。斥候を前に出せ。部隊を再編して前に進むぞ! ナータ、お前はオークヒーローが出て来るまで休んでおけ」
「そうさせてもらうわ。あの技は魔力消費が激しいのよね」
馬上でドワルドがナターシャに休息を言い渡すと、ナターシャはその言葉に甘え、剣を背中の鞘に収め、腕を組み休息に入る。
「あのオークの動き……違和感を感じるわね。狂気に狂った割には連携が取れていた。それにあの目……行動は狂っていたけど、あの目に濁りがなかった。まるでワザと狂ったフリをしていたみたい……まさかね」
「ナターシャさん」
ナターシャは自分を呼ぶ声に反応して顔を上げると、目の前にはいつの間にかギルド職員である解体屋ライムが立っていた。
考え過ぎで気が緩んでいたナターシャは、冒険者を辞めてからのブランクを痛感してしまった。
昔ならライムの接近に気付かないなんて失態を犯したりは絶対になかった。確実に全盛期より腕が落ちたことをナターシャは実感してしまった。
「準備はどう?」
「はい。皆、準備万全です」
「大丈夫です」
「コイツらは、俺達が守る」
ヒロに助けられたEランクパーティー『水の調べ』のケイトとシンシア、かつてヒロに叩きのめされた同じくEランクパーティー『殲滅の刃』のポテト三兄弟が、ライムの後に続く。
囚われのヒロとリーシアを救出する臨時パーティーが、ナターシャの元に集まる。
「そう……では、ヒロの救出パーティーはここから別行動よ。いい? 必ずヒロとリーシアちゃんを助け出してちょうだい。あの二人がこの戦いの鍵を握っている。だからお願いよ」
「任されました」
「はい」
「任しておけ」
ヒロに助けられた者、ヒロに叩きのめされた者、ヒロ専属のギルド職員……数奇な運命に導かれ結成されたヒロ救出パーティーが、密かに討伐隊から離れてヒロ救出へと向かった。
「伝令、斥候からです! この先に異様な建物があるとの報告です!」
「なに、異様? クソッ、まだオークヒーロー以外に何かあると言うのか⁈ 全軍密集隊形で前進せよ!」
ドワルドの声に移動を始める討伐隊……そして彼らは異様な光景を目の当たりにする事になる。
「…………な、なんだこれは!」
オーク討伐隊指揮官、ドワルドがそれを見た時、驚愕で言葉を失っていた。
「どう言う事? こんな砦を作れるくらい、オーク達の知能は高いというの? ありないわ!」
その光景を見たナターシャも、その異質な状況に驚きを隠せないでいた。
アルム町から南に広がる豊かな森、町から遠く離れたその場所に、突如として砦が現れたのである。
高い岩壁と水が満たされた幅広の深い堀り……およそこんな深い森の中には似つかわしくない……堅牢な砦がオーク討伐隊の前に立ちはだかったのである!
〈希望が作りし絶望が、討伐隊の心を挫きにいく!〉
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます