桜の実

としゃり、と

庭から聞こえてくのは

春に咲いた桜の名残

蜜すう奴らを操って

実をなし、大きく、薄緑

重さに耐えかね地に落ちた

それが、としゃりと地に落ちた

ざわざわ風が吹いた日の

次の日にある薄緑

通り道にあるものだから

足で避けて踏まぬよう

踏もうものなら甘い甘い

果実の匂いが靴につく

通り道

すでに潰された実が数個

甘い匂いが鼻をくすぐる

「よい匂いだ」と遠くを見た

本当は

己が踏まずによかったと

潰れた実を見て小さく笑う

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