なくす

底には泥がありました

形は流体、掬えば黴臭く

悪臭が漂うここは地獄かと

地獄がとうとう来たのかと

空は雲

薄ぼんやりとした灰色雲

先には太陽があるのか

確か太陽があったような

そこにいたような

曖昧模糊のまま壁伝いに歩く

空から何か降って来い

来るわけがない底だから

糸でも垂れていないか確認する

ここが地獄だとは思わない

思わないのは己の底だと知った時

戻る為には登らないといけないと

無くしたものを泥から作り

作り上げたもので登るのだ

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