お冷やし

たいした運動もしていないのに胸が熱くなる

熱は心臓から爪先まで血液によって運ばれる

心から熱い

季節のせいにしては早すぎて

身体のせいにしてはおかしくて

この熱量をエネルギーにしてアウトプット

できればいいのに、そう思う

お冷やしに冷房をつけた

肌に刺さる冷たさに心臓の熱が消えていく

萎むより、ふわりと消えた

肌という肌から熱が空気に帰るから

冷やしは痛いのか

ふんわりとした気持ちで過去を思う

こんなものがない時代

心臓から湧き出る熱をどうしていたのか

氷で冷やして目を瞑り、市井の人々は飢饉で死んだ

冷えた洞窟に潜り込み、季節が去るのを待っていた

朝露を飲み、木陰に隠れ、洞穴で眠る

昔の人は、この熱と上手く付き合えていたんだろう

そう思うと一日中洞穴暮らしの己に笑ってしまった

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