第7話 初任務
ベッドで寝るシヴァは夢を見る┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
(シヴァと詩音の夢の中)
目が覚めるといつもの縁側に仰向けで寝ていた。
ゆっくりと瞼を開くとそこにはいつもの顔があった。
「おはよう、シヴァ。いや、シヴァは今寝ているのか」
詩音は顔を覗き込むようにシヴァの頭の前にしゃがみこんでいた。
「おはよう、詩音。どうやらぐっすり眠れた見たいさ」
シヴァは体を横に向けてゆっくりと胴体を起こす。
シヴァは縁側に座ると、詩音もシヴァの隣に座る。
「いよいよ明日から狩人だな、シヴァ」
詩音はシヴァにそう話しかける。
「そうさ、明日からさ...。って何で詩音が知っているのさ!?」
夢の中にいる詩音が明日の予定を知っていることにシヴァは仰天する。
「ああ、それなら簡単だよ。着いてきて」
詩音は立ち上がると豪邸の家の中へと入っていった。
シヴァは詩音に言われたとおり後ろをついて行った。
(夢の中の豪邸 : 書斎)
シヴァは部屋に入るなり歓声をあげる。
「うわぁ、凄いの数の本さ!」
壁一面に埋め尽くされた世界中の本が棚に収められていた。
シヴァは近くにあった本を1冊手に取る。
「『国境なきサーカス団』!昔、僕の父が読んでくれた本だ...」
詩音はシヴァにこの部屋について説明する。
「ここはシヴァの記憶の家。シヴァが昔読んだことある本は全てここに収納されている。ほら、昔から本読むの好きだっただろ?」
シヴァは詩音の説明を聞き、部屋のあちこちを見渡す。
「確かに!読んだことある本ばかりさ。こんなに読んでたとは、改めて見ると凄い数さ...」
シヴァは自分のことを感心した。
「本当にそう思うよ。でもこの中には樹化異(きかい)について書かれた書物は無い。生命樹に関してもだ...」
詩音は首を横に振って呟いた。
「詩音、元気だしておくれ!僕が必ず方法を見つける!」
シヴァは胸に手を当てて詩音に胸を張る。
詩音はシヴァの顔を見てクスリと笑う。
「ふふっ、シヴァは相変わらず面白いなぁ。夢から見ていても毎日楽しいよ」
詩音は書斎の机の上に並べられた写真に目を向ける。
シヴァは詩音の視線の先にある机に向かって歩いていく。
「この写真、昨日の僕とソフィアの...。でもどうしてさ?」
シヴァは写真をもって詩音に尋ねる。
詩音はシヴァの隣に歩いてきて写真を見ながら説明する。
「シヴァの印象に残った記憶が写真になってここに出てくるんだ。ここは本当に不思議な空間だ。正直、ここでの生活も退屈じゃない」
シヴァは詩音に笑っていう。
「詩音が退屈になる前に元の世界に戻す方法を見つけるさ!」
詩音は書斎の扉に向かう。
途中でシヴァの方を振り向いて一言だけ告げる。
「うん、気長に待っているよ」
詩音はシヴァに優しく微笑みかける。
シヴァは詩音の優しさに満ちた笑顔を見ながら夢の世界を後にした。
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(白聖国 ノースタウン)
現実世界で目を覚ますシヴァ。
目を擦りながら重たい瞼を開ける。
すると、目の前にソフィアが寝ているのである。
「えっ...」
シヴァは一瞬、頭の中が真っ白になる。
シヴァは慌ててソフィアから距離をとろうと後ろに退る。
シヴァはダブルベッドの端に気が付かず頭から地面に転げ落ちる。
ドンッ
大きな音を立てて頭を打ったシヴァは最も刺激的な目覚めを向かえる。
かなり大きな音を立てたのにも関わらずソフィアはまだ眠っている。
「そ、ソフィアさん...?起きてくれないかい?ソフィアさん...?」
シヴァは何度もソフィアを呼んだが返事をする気配がない。
シヴァはソフィアを起こさないようにそっとシャワー室に向かう。
シヴァがシャワー室に入って数分後、ソフィアはスッキリと目覚める。
ベットから起き上がると欠伸をしてから、ぐっと背伸びをする。
ベットに座りながら雪の降る窓の外を眺める。
「ノースタウンは本当に素敵な街ですね」
ガチャッ
「おはようございま...」
ソフィアは振り返ってから後悔する。
「ひぃっ...」
タオルを1枚巻いたシヴァはソフィアが目覚めていることに驚愕する。
「本当にごめんなさいー!!」
「ごめんなさい、見てはいけないものをー!!」
2人の高い声が朝から響き渡る。
そんな今日はチームシヴァにとって記念すべき日であった。
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(白聖国 北の山脈 密林前)
雪の厳しい冬の山に妙な報告が入った。
「"体格の大きな熊が出た、銃で撃っても死ななかった"」
奇妙な現象と判断した狩人ギルド"DW(ドラゴンウォーリアーズ)"は調査を受諾する。
チームシヴァの一員は拠点となるペントハウスに向かう。
冬の登山ということもあり、慣れないカリティアやエドは苦戦した。
中でもソフィアは登山の経験も殆ど無かったこともあり列の最後尾を歩いていた。
「はぁ、はぁ...」
酸素の変化に慣れず、ソフィアの体力は奪われていった。
ソフィアを気遣ってシヴァが隣へやってくる。
「ソフィア、大丈夫かい?」
ソフィアはシヴァに話しかけていることに気がつくまで少し時間がかかった。
ソフィアはシヴァの方を見ていう。
「大丈夫です。心配ありません」
ソフィアを気遣うシヴァにゾロロが話しかける。
「シヴァ、急がないと日が暮れる」
ソフィアの隣に紅髪族の紅覇(くれは)がやってくる。
「私が一緒に付き添う、シヴァは先頭へ」
シヴァは紅覇に頷く。
「うん、よろしく頼むさ。ソフィア、しんどくなったら紅覇に声をかけておくれ」
ソフィアはシヴァに頷く。
「はい、了解しました。よろしくお願いします、紅覇さん」
紅覇はソフィアにグッドのポーズを見せる。
「うん、任せて」
(ペントハウス)
「はあ、ようやく着いたっス...」
料理人のエドはペントハウスに着くなり雪の上に座り込んでしまう。
エドの隣で運転手のカリティアも膝をついていた。
「車で来れないなんて予想してなかったわよ。もう絶対に登山なんてしないだから」
「おい、何をしている。早く中に入れ、体力を奪われるぞ」
ゾロロは雪の上に座り込むエドとカリティアを中に入るように忠告する。
「さあ、中においで!あったかい紅茶が待ってるよ」
希麗がカリティアとエドの興味をそそるようなことを話す。
希麗の言葉を聞いた2人はすぐに立ち上がると颯爽とペントハウスの中に入っていった。
遅れてソフィアもペントハウスにやってくる。
「お疲れ、着いた」
紅覇がソフィアに到着を報告する。
「やった...、ようやく着いたのですね...。ふぅ...」
ソフィアもエドやカリティアと同じように雪の上に座り込んでしまう。
「ソフィア、冷える。中に入ろ」
紅覇はソフィアの肩に手を当てて話しかける。
ソフィアは紅覇についてペントハウスの方に向かった。
ソフィアと紅覇がペントハウスに入ろうとした時だった。
日が沈んだというのに、シヴァとゾロロは狩猟の服に着替えて出発の準備を済ませていた。
ソフィアはシヴァに尋ねる。
「シヴァ?一体何をしているのですか?」
シヴァはソフィアに話す。
「何って調査に行くのさ。ソフィアはペントハウスでゆっくり休んでいておくれ」
ソフィアはシヴァに詰め寄っていう。
「いいえ、休みません。シヴァが行くというのなら私も行きます。それが私の仕事ですから」
ゾロロはシヴァの後ろからソフィアに告げる。
「好きにしろ。俺たちは今から数分後にここを出る、来るなら着いてこい。だが、今回は待ったりしない」
ゾロロはペントハウスの階段を降りると自身の荷物の確認を始める。
シヴァはソフィアの方を見て尋ねる。
「ソフィア、本当に行くかい?」
ソフィアは当然のような顔をして頷く。
「ええ、もちろんです。騎士ですから」
シヴァはソフィアに呼び笛を渡す。
「これは警告を知らせる笛さ。危険に感じたらいつでも吹いておくれ。急いで向かう」
ソフィアはシヴァから渡された呼び笛を首からさげる。
「分かりました。しかし、ご心配なく。自分の身は自分で守ります」
シヴァはソフィアに向かって笑いかける。
「それは凄く頼もしいさ!よし、出発しよう!」
夜の雪山にシヴァたちは乗り込む。
(雪山 ??)
シヴァたちから遠く離れた雪山の岩の上。
1人の若い男が奇妙な笑みを浮かべて呟く。
「おお、やっと見つけた。あの時のクソ野郎を...」
全身に刺青の入った男、肩には"Treedom(ツリーダム)"の文字が...。
波乱を呼ぶ雪山任務┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
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※Treedom(ツリーダム)※
世界に存在する謎の組織。
完全に秘密であり、目的も不明...。
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