声劇台本2人用「Xn + Yn = Zn」
コペル
Xn + Yn = Zn
ピエール・ド・フェルマー
(以下 フェルマー)
ブレーズ・パスカル、
(以下 パスカル)
兼ね役 ナレーション
男女不問
パスカル:お前も忙しいのに悪いな…
フェルマー:あまり気にするな、仕事柄あまり人に会えないんだから、良い気分転換になってるよ
パスカル:そう行ってくれると助かるよ、裁判官も大変なんだな
フェルマー:それだけ、責任ある仕事って事だよ
パスカル:でも、どうしてなんだろうな
フェルマー:うーん…もし、そうだな…お気に入りの酒屋があるとするだろ?
パスカル:えっ…馴染みの店も無いのか!?
フェルマー:贔屓にすると、後々仕事に影響するかも、しれないからな
パスカル:影響って…どんな?
フェルマー:知ってる人と知らない人、公平に裁くには、知らない人の方が裁きやすいからな
パスカル:なるほど…確かに変な情が沸かなくて済むか
フェルマー:そういう事、だから裁判官足るもの、粛々と過ごさないと行けないんだよ
パスカル:じゃあ…もし私が事件を起こしたら?
フェルマー:その裁判からは、外れるよ(笑
パスカル:そうしてくれ!私も知り合いに裁かれたくはない
フェルマー:ま、1番はトラブルに関わらない事だかな!(笑
パスカル:それもそうだ!(笑
フェルマー:さて、今日の所はもう帰るよ
パスカル:ん…?いつもより早くないか?
フェルマー:あぁ…まぁ…
パスカル:何か用事でもあるのか?
フェルマー:いや、最近手紙でやり取りしてる相手が居て…な、今日返事が来てるハズなんだ
パスカル:なんだよ、粛々にって言ってる割には、抜き目無いんだな(笑
フェルマー:ん?何か勘違いしてないか?
パスカル:別に隠さなくても良いだろ?
フェルマー:それもそうか、なら教えてやるが…誰にも言うなよ?
パスカル:わかってるさ
フェルマー:実はな、「ルネ・デカルト」と研究してるんだ
パスカル:「デカルト」だって!?あの哲学者と?いったい何を研究してるんだ
フェルマー:それは、まだ言えない…ただこの国の…いや世界が大きく進歩する研究だ
パスカル:それなら、今2人でやっている、この「確率論」だって、導き出せば世界が前進するじゃないか
フェルマー:勿論!だからこれからも研究を進めないとな
パスカル:そうだな…なぁ少し聞いて良いか?
フェルマー:なんだ…まだ何かあるのか?
パスカル:いや、裁判官になれるぐらいだから、頭が良いのはわかる、ただ…なんで数論がそんなに強いんだ?
フェルマー:あぁ、そんな事か…家で過ごす時間が多いから算術を使って遊んでるんだ
パスカル:算術って…あの「ディオファントス」か?
フェルマー:なんだ、知ってるじゃないか
パスカル:なるほど、やっとわかって来た
フェルマー:わかって来た?
パスカル:あぁ、お前があまり「証明」を、しない理由がな
フェルマー:そんな事か
パスカル:そんな事って…いくら問題が解けても、それを証明しないと、後世に継がれないじゃないか
フェルマー:そんな物は、数学者がやれば良い、私は難問を解いてる、あの時間が好きなんだ
パスカル:違うだろ?自分が解いた問題に捻りを入れて、数学者が悩んでる事が好きなんだろ?
フェルマー:あぁ…そうだな、専門分野でも無い算術を、私が解けて、学者が解けない姿が滑稽でな、傑作なんだよ
パスカル:それでも、私は解いた
フェルマー:だからこうやって、一緒に研究してるんだよ
パスカル:お眼鏡に掛かったわけか
フェルマー:それは違う、私はお前を認めてるさ
パスカル:悔しいが、私も認めざるを得なかったよ
フェルマー:ありがとう
パスカル:こちらこそ
フェルマー:長くなったな…私はそろそろ帰るよ
パスカル:あぁ、引き止めて悪かった
フェルマー:続きはまた今度な
パスカル:じゃ、気を付けて帰ってくれ
間
フェルマー:さて「デカルト」の返事も書けたし、今日もやるか「ディオファントス」の算術!
……
「a2 + b2 = c2 」
なるほど…「ピタゴラスの定理」か、美しい…
なんて美しい数式なんだ…
私もこんな美しい数式が、作れないだろうか?
2乗ではなく、3乗にすると……アレ?
じゃあ4乗なら……いや、5乗は!?
これは……そうか…凄い物が出来たぞ…
3 以上の自然数 n について、
xn + yn = zn となる自然数の組 (x, y, z) は
存在しないんだ…
ただこの定理に関して、私は真に驚くべき証明を見つけたが、この余白はそれを書くには狭すぎる。
ナレーション:このフェルマーが死んだ後
息子が遺留品の整理をしている時、
「ディオファントスの算術」にフェルマーが
数多く書き込んだ「定理」や証明されてない
「予想」が見つかった…
数学者達がこぞって証明をしていく中、
この「xn + yn = zn 」の定理が証明出来ず
「フェルマーの最終定理」と呼ばれ、
360年間もの間、数学者達を悩ませるとは
フェルマー自身、気付いてはいなかった…
fin
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