マリーと惑星ウィズエル Fractal.2
数時間後──。
宙域待機する〈ツェレーク〉へ、
海亀型や。
その様子をブリッジから見届け、リンちゃんは静かに呟いた。
「……来たわね」
「せやねぇ?」
さすがにハッちゃんには任せられへん。
せやから、リンちゃんは〝あの人〟を呼びつけた。
最初は渋っていたようやけど、マリー失踪の詳細を教えたら血相変えて飛び出したみたいや。
数分後──ブリッジのオートドアが開くと同時に、目も当てられへん動揺が飛び込んで来た!
「私のGカップは
「再登場の
ハイキック入った!
リンちゃん渾身のハイキックが、レスリー長官の顔面へクリーンヒットした!
格闘家と
「アンタ! レーティング指定やり直させる気か? あぁん?」
倒れた長官の胸ぐら
リンちゃん、怖いよ?
「ジョ……ジョジョジョ……ジョークだよ! ウェットに富んだ軽いジョークだよ!」
「黙れ! アンタのは
リンちゃん、何でそないな事を知っとんのん?
「とにかく……
長官は起き上がって
「つまりマリー──」どさくさ
「そ。アンタは、腐った〈
リンちゃん「腐った」言いはった。
自然体で「腐っても」やなく「腐った」言いはった。
「おまけに、
「……何気にエラくディスられていなかったかね?」
「していない。真実」
まさかのクルちゃんが割り込んだ!
「ま、そういう事で〈ツェレーク〉は、
「うむ、それはいいが……手掛かりはあるのかね?」
「う~ん、
「天条リン。その問題点なら多少は、どうにかなるかもしれない」
「は? クル、アンタ何か知ってんの?」
「知ってはいない。ただし、
「
「まず、マリー・ハウゼンは〈ネクラナミコンの欠片〉を持ち出して失踪した。ただし、彼女が持ち出したのは〈惑星レトロナ〉時点での計三個──私達が〈惑星ジェルダ〉で収集した二個は、まだコチラに有る」
「それが? ……って、そうか!」
「そういう事」
何やリンちゃんとクルちゃんだけで納得しとった。
ウチには、さっぱりや。
う~ん?
あ! せや!
「リンちゃん!」
「何よ? 急に興奮して?」
「ウチ、判ったよ! マリーの行先!」
「え? ホ……ホントッ?」
「オモチャ屋や!」
「は?」
「きっと並んでんねん! ゲーム欲しくて長蛇の列やねん! マリー、よっぽど欲しかったんや! 博士達のサイン入りゲームソフト!」
「……オイ」
「行こう! リンちゃん! ゲーム売場や! ビックラカメラかアマタ電器へレッツゴーや!」
「待てぇぇぇーーい!」
駆け出そうとした瞬間、顔面ハリセンがスパーーン来た!
鼻頭強打にスパーーン室内反響した!
「ふぐぅ! ぅぅ……痛いよ? リンちゃん?」
「
リンちゃん、あんまりや……。
「せやかて言うてたやん! マリー、言うてたやん! 〈ネクラナミコン〉は『博士達のサイン入りゲームソフト』って!」
「違うわッ!」「違う」
リンちゃんとクルちゃん、
「ったく……いい? これまで数々の惑星へと導かれたように〈ネクラナミコン〉は〝呼びあう性質〟を宿している。そして、クルは〈ネクラナミコン〉の意思を感受できる。つまり──」
「あ! 両方の〈ネクラナミコン〉をパモカ代わりにして、マリーと通話すんねんな?」
「違うわッ!」「違う」
「
「この脳みそアーパー娘は……。つまりクルを通じて、マリーが持って行った〈ネクラナミコン〉を感じる事が出来るの!」
「ふぇぇ? マリーの居場所
「とはいえ、私が感知できるのは漠然とした広範囲のみ。その宙域内の何処に滞在しているかまでは特定できない。そこで〈ネクラナレーダー〉の恩恵が必要となる」
「あ、な~る!
「それでも大変な捜索活動になるんやないの?」
「
「ふぇぇ? そんなん可能なん?」
「別に難しい事ではない。彼女が搭乗した〈
「せやけど、
「だから〈ネクラナミコン〉だッつーの! この〝呼びあう性質〟なら、逆に
「あと〈
「よし! コマは揃ったわね! 後は──」
「うむ! ハウゼン博士が帰って来た時に備えて、隠しカメラの設置位置だね!」
「それもまた、さぷらいざっぷ!」
「……黙れ、阿呆 × 2」
と、不意にハッちゃんが何かに気づいた。
「む?」
注ぐ視線は
その手前に据えられたコンソールへジッと見入っとる。
「どないしたん? ハッちゃん?」
「いや……
説明に取り上げた物を見て、ウチとリンちゃんの顔色がサァと変わる!
ハッちゃんが掛けて遊んどんのメガネや!
マリーのメガネや!
家出したんは〝表マリー〟やなくて〝裏マリー〟の方やった!
「マリーの所在特定急いでッ! そこ! 何やってんのーーッ!」
リンちゃん、血相変えて指示出した!
「なるほど、
クルちゃん、
納得でクルコクン
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