G-MoMo~銀暦少女モモ~
凰太郎
ウチの銀暦事情
ウチの銀暦事情 Fractal.1
遠い近未来──地球人類は太陽系銀河の開拓計画を実践に移し、それに
これは近い将来に訪れるであろう物語……。
永遠に未来から近付かない物語…………。
それは、
『ツェレーク、空間転移完了──量子波動安定化──現フラクタルブレーン座標照合、6
次空転移結果を報告する艦内放送が響く。
比喩やないよ?
文字通り〝クジラ〟やねん。
うん、正確には〝
そのまま〝鋼鉄製のクジラ〟を想像してもらえばええ。
こう見えても
全長三〇〇メートルにも及ぶ巨体は、滑らかな流曲線を描くフォルムながらも威圧感に満ちとった。黒い
内部には長期間宇宙航行に準じた設備だけやなく、日常生活を
で、ウチは〈ツェレーク〉から宇宙空間を眺め……とるワケやない。
愛機である
サブモニターに
つまり、格納庫で待機状態いうワケやね。
この
一般に〈
対して〈
コレは、広く一般普及しとる小型宇宙艇の事。
少人数程度──
ウチの愛機〈イザーナ〉も、当然この分類。
全長八メートルとやや小型で、一人乗り使用。
この〈イザーナ〉の特異性は、その機体フォルムにも滲み出とった。独自性の強い特徴的なデザインは、通常の〈
だって〝
要は〈ツェレーク〉の設計ノウハウを
もっとも〈イザーナ〉は、様々な点で〈
この機体が〈
一人乗り仕様とあって〈イザーナ〉の
完全密封された暗さの中では、電子計器が
サブモニターを改めて眺める。
「……キレイやね? イザーナ?」
『キュー ♪ キュー♪ 』
肯定の同調が
光量子ワームホールの
その中で瞬く星々の細い蛍灯に
「軽く手を伸ばせば届きそうやんね?」
『キュー ♪ 』
「せやけど実際には、遙か光年先の歴史なんよね……コレ」
『キュー?』
「せやねぇ? ウチらが住む次元宇宙での歴史ではないねぇ?」
ほわっと笑うウチ。
「……あんな? イザーナ?」
『キュ?』
自分の肢体に目を落とすと、密着フィットしたワインレッドの全身スーツがテヤテヤした光沢に
コレは〈ポータブル・ハプビタル・ウェア〉──通称〈PHW〉──いう凡庸多機能宇宙服や。
「ウチ、コレ改善してほしい……慣れへんわ」
『キュキュキュウキュウ!』
「うん、知っとるよ? スゴい
『キュウ?』
何が不服か
「……ボディライン浮き彫りやもん。肌露出が皆無なのに妙に
『キュウ?』
「ちちち
『キュウキュウ……キュウ』
「
その時、もうひとつのサブモニターに、インディブルーの〈PHW〉を着た美少女が映り込んだ。
『いつまでもイルカと
気丈さが
綺麗に毛先を切り揃えた髪は背中まで伸びていて、それを大きな赤いリボンでロングポニーテールに
スラリとした肢体はスマートさを維持しながらも、付くべきトコには肉感が
彼女の名前は〝
隣で待機しとる同型
ちなみに〈ミヴィーク〉の外見は〝シャチ〟やった。
うん、ウチの〈イザーナ〉は〝イルカ〟で、リンちゃんの〈ミヴィーク〉は〝シャチ〟やねん。
『滞在可能推定時間、把握してるわね?』
「二時間三〇分リミット……やね?」
『そう、それまでに〈ツェレーク〉へと帰還する!』
「知っとるよぅ? ウチ、初めてやないよ?」
『……初心者じゃないのに初心者級にヌケてるから心配だッつーの、アンタは』
ジト目で指摘されたわ。
リンちゃん、ヒドイ
と、今度は、さっきまで〈ツェレーク〉と映像
知的印象の強いオシャレな眼鏡をかけた美女や。
冷静さを内包した
黒のフォーマルスーツをシックに着こなし、くっきりと浮かび上がるボディラインもウチらとは断然格違いの優美にある。さすがに大人の女性や。あまりにもグラマラスなわりに、見事なスレンダーさでもあった。完璧なプロポーションは異性でなくとも
とりわけ目を引くのは豊満な胸!
そのスゴさといったら……スイカやん!
まるで〝歩く豊穣祭り〟やん!
もしも叶う事なら、可哀想な成長に足踏むウチへと少し分けてほしい……。
彼女こそ、
若干二〇歳にして、いくつかの博士号を拾得してるんやから、とんでもない天才には間違いあらへん。
この〈ツェレーク〉艦長にして、ウチらの保護者でもある。
『二人共、準備はいい?』
『いつでも』
「うん、ええよ ♪ 」
『目的は〈宇宙クラゲ〉の捕捉、及び、データ収集。そのリアルタイム情報を即時〈ツェレーク〉へ転送して頂戴。
『場合によっては交戦しても、いいのよね?』
リンちゃんの勝ち気ぶりに、マリーは包容的に苦笑う。
『あまり勧めたくはないわね……自衛レベルでは仕方ないけど』
『心配ないッつーの。アタシと〈ミヴィーク〉は
『ケルルルル……!』
気丈な自信に同調して、シャチが猛り鳴いた。
『出来るだけ離脱を試みて頂戴? 無理や危険を冒さないように……』
柔らかく釘を刺す。
『……ったく、心配
リンちゃん、少々不服そうやね?
ブツブツ言うとるねぇ?
「あんな? マリー?」
『何? モモカ?』
「友達になんのは、ええ?」
ウチの発言にリンちゃんは苦虫顔を浮かべ、マリーは慈しむかのように
『いいけど……無茶はダメよ?
「はーい ♪ 」
ウチ、にっこりや ♪
ケンカするより、仲良しなった方がええ ♪
ややあって、正面の
星空の大海が歓待に漂う。
『……〈ミヴィーク〉出る!』
「〈イザーナ〉行ってきま~す ♪ 」
カタパルト射出!
鋼鉄のイルカとシャチが、
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