バラバラ女〈改訂版〉
ノコギリマン
バラバラ女
プロローグ
1
――あれがバラバラ女だと気づいたとき、すでにすべてが終わっていた。
事の発端は、私の腹についた
禁煙にも幾度となく失敗し、度を越えた
こうして有罪になった私に下されたのは、《毎朝ジョギングの刑》という単純至極な肉体使役だった。
ジョギングのために妻から支給された安手の黒いジャージを身にまとって走るコースは、まず家を出て、濁るどぶ川沿いの道を抜け、犬の散歩をしているご老輩たちと挨拶を交わしながら、まだ目の覚めない住宅街を走り抜け、踏み切りを渡り、駅の北側へと出て、駅前商店街を抜け、神社へと続く長い坂道を休み休み登り、国道に出て左へと曲がり、栄えているとまではいえないが、そこそこに都会的なオフィスビル群を横目に国道を進み、通称『パンダ公園』という、さほど広くない公園に入り、その中央にある『蛇、
私はこの町で生まれ、この町で育った。
この狭い世界が私の全てで、恐らくこの町で死んでいくのだ。
だがこの生き方に疑問など感じたことなどない。
なぜならば、私はこの町を心の底から愛しているのだから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます