第15話 神無の月二十一日・エクロス君の覚悟 ①

 この数日間、次男のエクロス君がずっと『地形を確かめる』という言い訳で我と一緒の時間を回避していた。やはり、反抗期なの? 他の三人が全部我と親しい子だったのに! 何故彼だけがこうなったの?


 親子時間を増やせないと、気付かぬままに、彼があの無表情メガネ男に成れてしまったよ!! 


 見ってくれよ! お母さんの愛で、あなたをいい子に戻るよ!


「ごちそうさま!(御馳走でござる!)」


 ようし! 今日は絶対に逃がさないよ!!


「エクロス君……」


 話したとたんに、エクロス君が立ち上がった。まるで何かを気付いたそうだ! 落ち着けかつ無表情な顔に現していた。


「クリオ、今日の狩り、止めさせてくれ!」


「アレいい、オレは大丈夫だが。なんか用があるか?」


 クリオ君が横に見て、蓄えた肉を確かめていた。


 エクロス君が差し指で山根さんこんのどころに押していた。森の奥に眺めて、何か確かめているそうだ。


 でもよ! その動きは何よ! あなたはメガネをかけてなぇよ!! そして、絶対にメガネをかけさせないよ!!


「ぅて、オレを無視かよ!」


 エクロス君は怒りで地面を踏み付けていったクリオ君を無視して、溜息を吐いていた。


「リスティア、あなたもな。変な魔法開発を止めて置け」


「何よ!! エクロス兄様! あたしの魔法はどこがおかしいですか!?」


 リスティアちゃんの頬がリスのように膨らんで、一方的な口喧嘩していた。


 そうよ! 自分の妹にあんなひどいことを言うものなの!? 彼女はたまに魔法で地形を変わっただけよ。


 三人の喧嘩がまだ続いている。セルシアちゃんはその中に喧嘩を仲裁している。さすが一番安心できる子だ。お母さんが大好き!


 爽やかな空は急に黒雲が垂れこめていた。強い風が「ビュウ、ビュウ」と空に鳴いていた。この光景は、まるで何か悪いことの兆候だそうだ。


「あなたたち、喧嘩はそろそろ止めさせてくれ! お客さんが来たよ!」


 エクロス君の思いかけない発言によって、我らが愕然していた。


 お客さん? 敵なの? サポートシステムが何の反応もなかったよ! またランク4以上の魔物か? あの程度なら驚くにはあたらないよね! なのに…… 何故!?


【緊急警報!強敵接近中!人間族2人!】


 強敵! 人間! あの勇者か!? 確か子供たちは強くなっていたが。あの勇者なら、まだ敵わない相手であったよ! そして、子供たちは不死身じゃないよ! どうする!? みんなすぐ逃げるか!?


「サラ、サラ」と、男女二人の人間が森から出てきていた。男性が緑色の服と革で作った肩防具を装備している。金属で作った弓を持ち、背中に赤い矢羽の矢を差す矢筒を背負っている。もう一人が紺色長い髪の女性であった。金色の糸を付いている黒いローブを纏って、宝石を鏤めている金色の杖を持っている。


 そして、あの二人の顔が、決して忘れないよ!! あの勇者におもねっていたアーチャーと魔術師であった!


 しかし、この二人の服がボロボロにした。そして、顔と手が小さな傷だらけだった。木の枝に傷つけていたのか?


「ほら! ディラットよ! あたしの言った通りよね。ここは魔物があるよ! イヒヒヒヒ!!」


 女の魔術師が不気味な笑い声を出し、杖の先端でこっちに指していった。


「ホ~ さすがフェオラの第六感だな! こいつは勇者様が殺したラミアーじゃないがぃ? まだ生きてるかぃ?」


 ディラットという男性が我の姿を見って、気付いていた。


「そんなことどうでもいいよ! てめえら! 森のトラップがてめえらの仕業だよね!?」


 フェオラという魔術師がまた更なる下品な顔に表し、声を出した! 彼女のお母さんの顔が見て見たいよ!!


 って、『トラップ』なの? そんな覚えがなかったよ。 でも、頭の中に、犯人の正体が知っているようだ!


 わあ! エクロス君が顔を横になっていた!! やはりあなたか!!! 


 でもよ! 彼は自分なりのやり方で、家族を守っていたよね! やはり、うちには問題児がなかったよね!


「こら! オレたちを無視するな! 魔物くせに、人間様を怒らせた結末、ゆっくり味わってくれ!」


 ディラットが弓の弦に矢をあてがいて、射撃の構えを取っていた。


「オイオイ! ディラットよ! こいつらは全部レア種だよ! 生きのまま捕まえたら、あの方が大喜びよね!! イへへへ!!」


 やはり、戦うしかないか? でも、本当に勝てる相手なの? さらに、人間を殺すことができの? 


「あなたたち、私たちを捕まえたら、何をするつもりか」


 考えている間に、エクロス君が彼らに質問していた。


「ホ~ お前らを待っている運命に免じて、慈悲深くて教えよう!」


 ……


 彼らによると、勇者と一緒に召喚させていたある魔術師がいた。その人が生きのまま魔物を解剖して、様々な部位で新しい合成生物を創っていた。もちろん、我らもその『運命』を待っている。


 話で敵の情報を引き出そうしているのか。エクロス君が賢いな! それだけではなく、この二人を殺す理由も備えさせていた。生命を尊重しないなら、命を持つ権利がない!


「わかった。なら、抵抗させてもらうよ!」


 わあ! 無表情の息子がカッコイイよね! イヤ、今はそんなの場合ではないよ! 敵の実力がまた分からないので、予断は禁物だよ!


「はぁ? 抵抗? わざわざ生きるチャンスを放棄するつもりか! あのバンパイアたちと同じか!」


 あの女は何を…… バンパイアたち! クラウスさんのこと……か!! やはり、勇者たちの仕業だ!!!!


「お前らを…… 許さん!!! 殺す!!!」


 怒りで理性を失っていた我は、全身が暗いオーラに覆われていた。目が血のように真っ赤になっていた。まるで復讐するため、地獄から戻ってきた悪魔のようだ。


 急に誰が我の肩に手を置いていた。顔を横にして、エクロス君の無表情な顔が現れていた。


「お母さんは落ち着けないといけないよ! ここは私たちに任せてくれ」


 あぁ…… 我がさっき…… 子供の前に、冷静を失ってしまったよね…… 母として、失格だ…… エクロス君がいなかったら。彼らにあんな惨劇を見せってしまったよ!


「心配かけて、ごめんね。お母さんはもう大丈夫よ! 後はあなたたちに任せてお願い! 気を付けくれ!」


 我が正気に戻っていたことを見て、彼らの顔に表した心配な表情がなくなり、自信な笑みに表していた。


「あとはオレたちに任せてくれ!」


「母上を傷つけるモノ、拙者は決して許さぬ!」


「お母様、虫の片付けことは、あたしに任せてくださいよ!」


 クリオ君が手の甲に筋が浮き出るほど強く拳を握り締めっている。


 セルシアちゃんが剣の柄を握って、攻撃の構えを取り、満を持している。


 リスティアちゃんの手が既に燃えている炎に覆われている。目を細めて異様な笑顔に表していた。


「やれやれ…… 私もちょっと付き合いにしよう」


 エクロス君が緩めて空に浮かぶっていた。彼の口元が少しだけ動けていた。気のせいかな? 笑った…… の? 

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