【オフ】366話:初登校の中等部②
学園に着いてすぐに樹一からライフアプリのグループで、コメントが書き込まれる。
『ズルいぞお前ら⁉ 俺も起こして一緒に連れて行ってくれてもよくないか⁉』
『おこしたよ、起きなかった兄ぃが悪いよね。今日は翡翠ちゃんの為に早くから登校しないといけないっていう説明はしてあったもんね~』
小鳥ちゃんが言いたい事を言ってくれると、最後に樹一を挑発するように、あっかんベーという絵のスタンプが最後に押されている。
悔しそうな絵と、地面に突っ伏して泣いている絵のスタンプが樹一から送られてきた。
《遅刻はしないようにね》
『今走ってるよ⁉』
誰も起こしてくれなかったから、本当にギリギリなんだろう。
雷刀が最悪でもフォローしてくれるだろうから、まぁ樹一については大丈夫だろう。
すぐに小鳥ちゃん達とは別れて、母さんと一緒に応接室に案内され、そこで少し話し合いをしてから、母さんだけ残り、僕は担任となる先生に連れられて教室へと案内される。
「大丈夫か?」
〈はい、ちょっと緊張しているだけです〉
「そうか。じゃあ先に入ってしばらくしたら呼ぶからな」
優しく声を掛けてくれる担任の先生が、少し騒がしい教室に入っていく。
クラスメイトは桜花ちゃんと一緒だ。隣には桜花ちゃんが居てくれるので、少し気は楽だけど、自己紹介の時は一人前に立つのでどうしても緊張はしてしまう。
「ほら、もう良いぞ。入って来なさい」
「頑張ってね」
桜花ちゃんに応援されて、頷きながら教室に入る。すぐに桜花ちゃんも違うドアから一緒の教室に入って、彼女の席へと座る。その際に近くの席に座っている子達に話しかけられていたけど「後で説明する」という感じの事をいって会話を切っていた。
こういうのは慣れないものだ。妙な緊張のせいで背筋が伸びてしまう。
初めは少し覗く感じで教室内を見回したせいか、何人かの生徒と目が合ってしまった。
「そんな小動物みたいなことをしてないで、自己紹介を頼む。あぁ、そうだ、先に説明しておくが、彼女は喋ることが出来ない。お前達なら大丈夫だと思うが、しっかりと守ってやれよ。少し違うからって仲間外れにしないよに、虐めなんてクズみたいな事をしていたら、俺がぶっ飛ばすからそのつもりでいろよ…… まぁ、社会的にも抹消されそうだがな」
先生がそう言いながら桜花ちゃんの方を見て言う。
「そんな事はしませんよ。ただ、私の恩人で親友でもある彼女に手を出したとなったら、我が咲沢家全体が黙ってはいないでしょうね」
いつもとはまた違った桜花ちゃんだ、ちょっと新鮮な感じで面白かった。
〈えっと、よろしくお願いします。会話はこんな感じになってしまいますが、今後とも仲良くしてくれると嬉しいです。名前は風雪翡翠です〉
特殊なパネルのペンで文字を書いて一生懸命に書く。少し恥ずかしい気持ちからか、顔を半分くらい隠しながら、何度もパネルを見せて文字を繋いでいく。
「おう、よろしくな」
「アンタは調子に乗らない様に、全員で見張っといてあげるわよ。こんな可愛らしい子にむやみやたらに男子が近付くんじゃないわよ」
「ま、まぁまぁ。落ち着いてよ二人とも、風雪さんが驚いてるから」
仲の良さそうな三人組が騒ぎ出した。
「あれがクラスのムードメーカーであり、問題児も兼ねた纏め役達だ。ちなみに裏を仕切ってるのは桜花の奴だからな。まぁ、お前には言わなくても分かってそうだがな」
先生が僕の耳元で説明してくれる。
「ふぁ~、俺は眠いから。今日はしばらく親睦会とする」
「せんせ~。またゲームのやり過ぎですが?」
「そうだよ。いいか~、お前らは生活リズムを崩すほどやるんじゃね~ぞ。俺が怒られる、ただし、俺が保護者から文句を言われない範囲なら思いっきり遊べ、遊びから学ぶ方が覚えも良いし、楽しいだろう」
「でたでた。まぁタケセンの名台詞だ」
そんな感じで僕は生徒たちに囲まれて、桜花ちゃんに助けを求める事となる。ただ、それでも質問攻めは止まなかったけどね。
〈先生って何のゲームをしてるんですか?〉
「今話題沸騰中のズィミウルギアだ。ちなみにな、あそこの三人組も同じゲームをやってるぜ。学園にまだまだいるぜ、きっと上級生もやってるヤツは絶対にいるね」
もしかし、同じサーバーだったりするのだろうか。
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