【オフ】367話:初登校の中等部③




 クラスメイト達の殆どがコードギアを持っているようだ。


 腕に付けている人ばかりで、僕や桜花ちゃん達が目立つという事も無かった。


〈先生もやってるんですよね、ズィミウルギア〉


「おう、やってるぞ~。いま丁度良い所でな、普段はお店で物を売りながら、ちょこっと活動してるんだよ。俺の他にも三人くらいの友達とやってんだよ。露店から始まって随分と大きくなってなぁ~、みんなからは大将って呼ばれてるんだぜ」


 物凄く聞き覚えのある人でした。


「ちなみに、あの三人も同じサーバーでなぁ。海や湿地帯が多い大地の住人だぞ。今ではそれなりに活躍出来てるって話だぜ」


 積極的に仲良くなろうとしてくれている三人も、同じ場所に居る人達でした。


〈そうですか、武田先生は露店大将さんでしたか〉


「おう、そう呼ばれて……あん? 何で知ってるんだよ」


〈僕がスノーだからですかね〉


 糸目みたいに目を細めて、武田先生を見ながら言う。

 すると武田先生は物凄く驚いた後に、なんか妙に納得した感じで頷き始める。


「どことなく、雰囲気が似てるな。そうかお前がスノーか……それなら、学園生活も問題なさそうだな。お前ならよっぽどの事でもない限りは切り抜けられるだろう。けどな、ゲームみたいに頑張り過ぎるなよ。しっかり俺達大人を頼るんだぞ」


 ポンポンと軽く頭を撫でられた。

 あんまり子供扱いはして欲しくないんだけど、この姿じゃあしょうがないだろう。


「はいは~い、翡翠ちゃんとのスキンシップはそこまでですよ~」

「ぬぉ⁉ 別にそこまで過剰じゃ無かったろうが、いきなり出てくるな桜」


 この先生は双子姉妹を、桜と月という感じで呼んでいる。

 元々は桜餅と月見団子という感じで、区別して呼んでいたらしい。


「ダメ、私達との時間が減る?」

「そうそう、もう放課後なんだから帰って良いでしょう」


「たくよ~、良いよなお前らは。帰ったらすぐにズィミウルギアか? 翡翠が一緒って事はお前らも一緒のなんだよな?」


「そうだよ、兄ぃに呼んでもらったからね。翡翠ちゃんとは一緒のサーバーなの。羨ましいのタケセン? でもダメよ、コレは私達の特権だからね」


 小鳥ちゃんが先生を挑発するように言うが、それは多分効果は無いと思う。


「はん、言ってろ」


 とくにダメージがないというように、鼻で笑って僕等を追い払う様に手で振る。


「タケセンの事だから羨ましがると思ったのに」

「後で風雪に話を聞いてみるんだな」


 ニヤついた笑みで小鳥ちゃん達を見ながら、意味深に僕の方を見てくる。

 三人ともが「なんで?」という感じで見てくる。


〈この人、露店大将さん〉


 失礼ながら指を指して、書いた文字を見せる。


「うそ、全然気付かなかった」


「俺だってビックリだよ。こんな身近に居るとは夢にも思わなかったぜ」


「それは、こっちのセリフ?」


「先生が一緒の場所で活躍してる人だったとは驚きですね」


 




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