【オンライン】362話:敵の一手、僕等の一手⑥




 座敷童ちゃんには悪いと思うが、誰が正しい事を言っているのかを確かめるために協力してもらうしかない。この人か、蝋の中で率先して話していた人かのどっちかだろう。


〈嘘って部分を話して貰っても良いですか?〉


「はい、我等が王はあまり人を信じる方ではありませんが情には熱い方です。初対面の人を疑ってしまい、それが下の者達に変な誤解を招いてしまっておいでなのです。王妃様がその辺をカバーなさっていたのですが……何者かに姫様を攫われてしまい、それからは周りの国々に対して試す様なマネをしているのは、側室だった者の指示の筈です」


 前王の側室だった者に乗っ取られる形で、いう事を聞かなければ子供達の命は無いと、権力者達の子供を隔離して脅しをかけているらしい。


 なんとかしようとしているみたいだが、上手くいかずに姫と呼ばれる子が見せしめとして殺された……らしいのだが、姫の死体は何処を探してもなかったそうだ。


 王妃様はショックで寝込んでしまい、他の子達も人質として捕まっているので、何も出来ずに言いなりになっているしかないらしい。


「なんとまぁ、情けないのではないか?」

「返す言葉もありません。しかし、姫様が生きておられとは、いったいどうやって」

「強制転移の痕跡があったらしいよ。心当たりは?」


 シュネーが何となしに聞くと、忍者さんが目を丸くして驚いていた。


「転移術を使えるのは、我が王しかおりませんが……何時の間に?」


 すぐにブツブツ呟きながら忍者さんが考え込んでしまう。


「一つお聞きしたいのでござるが、貴方は王様と親しいのでござるか?」

「側付きの影でしたが……今の部隊へと移動されることになりました」

「じゃあ、あのお喋りな人は?」

「元々は王妃様の派閥に属していたと思っていたんですがね……」


〈のぞき見の呪術を解いたのは、まずかった?〉


 あれで王が監視していたなら、余計な事をしてしまったのかもしれない。


「いえ、あれは王が掛けていたモノでして、解いたモノには嘘偽りなく話せと」


 忍者さんも戸惑っている様子だ。


「なぁ、これってさ。俺達を上手く利用して水面下で悪だくみしている奴等を一掃する為に利用する気なんじゃないだろうな」


 ティフォがこそっと僕に耳打ちしてきた。


〈どうだろうね、その予想が正しかった場合は、あんまり関わり合いになりたくない国だって事は確かじゃないかな。少なくとも、お国のお姑さんも碌な性格はしてなさそうだしね〉


 話を聞いている限りだと、まともなのは現王妃様くらいだと思う。

 ホームに着くと、先ずは座敷童ちゃんと対面させてみる。

 無事を確認出来た事が嬉しいのか、涙をぽろぽろと流しながら、跪いている。


「ご無事で、本当に――」


 忍者さんの頭をポンポンと優しく撫でている。


〈知ってる人かな?〉


 僕が聞くと、座敷童ちゃんがコクっと頷く。





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