【オンライン】360話:敵の一手、僕等の一手④




「貴様等が誘拐した犯人か⁉」


「なぜそうなる……最初に説明をした事をもう忘れおったかお主は。その頭には脳が入っておらんのではないか、本来ならばお主らが仕出かそうとしたことで首が飛んでいても、おかしくはないのじゃぞ。少しは物事を考えて発言をした方が身のためじゃ」


 殺気を飛ばして、忍び装飾を身にまとっている天狗さん達を一瞬で黙らせた。

 ミスユ団長が九尾だと分かった途端に、首を垂れて命乞いが始まった。


〈……何したの?〉


「なに、ちょっと恐怖心を増長してやったのじゃ」

「それだけでこんなに怯えるかな? もっと何かをしてたんじゃあないの?」

「なにモしていナイ」


 僕等よりも先にこの場所に居たのはズナミで、彼が事前に何かをしていたのは明らかだ。

 ジト目でズナミをしばらく見つめると、観念したように両手を上げる。


「そノ、ちょっと尋問ヲシタ。魂を食われたいのカト、脅シタだけダ」


 その後にミスユ団長による恐怖心を煽られて、二人の殺気が混じったモノを向けられたんじゃあね、そりゃあ恐怖で失神しそうになるだろう。


「まぁスノー姫の御前であるし、今日は勘弁しておいてあげましょう。けれど、また同じ過ちを犯す様にであれば、覚悟ありとみて私達が貴方達の息の根を止めてあげるのじゃ」


 幻術の類だと笑いながら言うけど、簡単に言えるレベルじゃあないと思う。殆ど精神に干渉しているんじゃないだろうか。


「我等が主二危害を加える時は覚悟シテオケ、地獄を見せてヤルゾ」


 ズナミが言うト、迫力が三倍になって伝わっている気がするね。妙に赤いオーラが出ているせいかも知れないけど……何気にズナミも進化してない? 前はそんなオーラを身にまとっていなかった気がするんだけど、僕の気のせいですかね。


〈とりあえず顔を上げてくれないかな〉


 このままでは話が進まないので、忍び衣装の天狗さんをつついて僕の打ち込んだ文字を見て貰う。震える体は止まらないみたいだけど、なんとか顔を上げて僕を見てくれた。


「あの、お聞きしてもよろしいでしょうか……」


〈別に良いけど?〉


「スノーは優しいからね。別に多少の言葉遣いなら気にしないって」


 ケタケタ笑いながらシュネーが場を少しだけ和ませてくれる。


〈シュネーはもうちょっと言葉遣いの練習をしようね〉


「ほれ、お前が話しを脱線させんな」


 ティフォが呆れながらも、少し楽しそうに僕を注意してくれた。


 シュネーにはコレ以上は余計な事を言わない様にと、少し怒りながら頭をクニクニと揉んで「ごめんなさい~」とシュネーが謝りながら、遊ばれている。


〈それで、この子を知ってるって事で良いんですよね〉


「はっ、その御方は我等が国の姫様にございます」


「王妃様の子でして、その……恥ずかしながら、妃さまを良く思っていない派閥の者達による陰謀に巻き込まれて、今まで行方不明になっておりました」


 ティフォとガウが露骨に面倒事に巻き込まれるなという、顔で僕の方を見てくる。


「なるほど、それならば姿絵を見せた時の、あの取り乱しようも納得じゃのう」

「娘が居なくなったというならば、確かに一大事なんだな」


 さてと、どうしたもんかなぁ。






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