【オンライン】317話:まったりした一時の休憩
怒涛のイベントラッシュが終わってみると、前日の活気が嘘の様に静かで平穏な日常になるのかと思っていたけれど、なんか想像と違った事態になっている。
グランスコートの町から鬼達の集落から、今では村と呼べるまでに発展している。二つの間にあったサーカステントの場所は大きな広場になっていて、エーコーさんやボウガさん達の協力によって、大きな公園となっている。
子供達が思いっきり動き回れるような広さ、地面は芝生。砂遊びも出来るようにとカミルさんが作った砂場、それに僕とシュネーがパニアに力を借りて作ったジャングルジムに、長い滑り台やら小さな迷路っぽいブロック砦なんかもある。
そして、ボール遊びが出来る場所も設置してある。
ケリアさんが建てた工房に住み着いたモンスターは蜘蛛の魔物達で、その子達に手伝って貰い、ネットの代わりになるように網を張って貰ったのだ。
これで、ボール遊びをしても余計な場所の飛んでいかずに安全性も保てる。
リアルではお馴染みのサッカーコートと野球場っぽいもの。
テニスコートと幅広く遊べるようにした。
まあ、そんな場所を作ってしまったものだから、グランスコートの人達がまらお祭り気分で殺到してきて、ボールでの遊び方を教える羽目になったんだけど。
「ふぁ~、もっとゆっくり出来ると思ったんだけどな」
〈もうちょっと後に作ればよかったかな?〉
お姉ちゃんのせいで、今では僕ら全員がちょっとした有名人になってしまっている。
少し出歩けば、アイドルみたいな扱いを受ける事もしばしある。
「イベントで盛り上がった熱が冷めぬ内にと、動き始めてしまったのは不味かったんだな」
ガウの言う通り、反省すべき点ではあるんだけど……何にもしないと、逆に落ち着かず、手持無沙汰になってしまっていた所に、サーカステントが無くなってしまってがら空きになったスペースをどう活用するかの話に発展して、今現在という訳だ。
「でも、思いっきり体を動かせる場所って今までなかったんだよね」
グランスコートの町にもだだっ広い中央広場はあるけれど、あそこは露店やら情報交流の場など、色々な事に活用していて人も多くいる。
だからただ遊ぶ場所としては向いていない。子供だけで遊ぶにしても、死角になる場所も多くあったりするので、何処に子供が行ってしまうかも分からないのだ。
その点、この場所ならば一通り見通す事が出来て、警備なんかもしやすく、少し高めの柵を用意しておけば、子供達が変な場所に行ってしまう事もない。
グランスコートの町や鬼達の村に住んでいる、魔物達も居てくれて、森にも近いから、花の妖精達や泉の精霊や森の精霊達が警護を買って出てくれている。
鬼達や妖怪達、それに町の住人達が花壇の世話や植林をしてくれるのも含めて、良い感じの交流場所としても、一役買ってくれている場所になったと思う。
「それよかさ、なんでまだあの人らは、ここに留まってるのさ?」
シュネーが疲れて寝ころんでいた体を起こして住人達と遊んでいる場所に顔を向ける。
「知らないんだな。でも、此処が息抜きの場所になっているんじゃないでござるか?」
疲れ切った僕等に代わって魔物達や住人達にスポーツを教えているプレイヤーは、この前まで競い合っていたアイドル達だったりする。
〈助かってるんだからいいんじゃないかな?〉
「それも、そうだな」
「このまったり感は、頑張ったご褒美だもんね~」
「拙者達はもう少し、休むべきなんだな」
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