【オンライン】287話:サーカス団の思いと恋の行方(13)
どうしてエリエさんとドイさんが、ここまで仲良くなったか。
簡単に説明すると、お互いの主人について情報を聞き出そうと近付いたのがきっかけで、やり取りする事が増えて意気投合したという。
そこから支える側の愚痴から始まり、初々しく奥手な二人に恋愛とは何かを近くで見せる為に協力する話だったのが、そのままお互いにくっ付く感じになってしまったらしい。
〈ドイさん、消える前に聞きたいんだけど。ズナミはミスユ団長の事を好意的には見ているんですよね? それぐらいの報告はしていってくださいね〉
「はっ、はい! それはもうリーダーの好みの女性で、何とか仲良くなれないかと聞かれたくらいですので、ミスユ様には是非とも我らのリーダーと仲良くなってもらいたいクレイですので、はい――」
ガクブルと体を震わせながら、何とか捻り出す言葉は、自然と早口になっている。
一瞬だけ僕の顔を見たが、すぐに顔色を悪くし、ドイさんはもう土下座の姿勢のままで、息継ぎを忘れて、壊れた人形みたいな聞き取れない言葉を紡いでいる。
「お前はもうちょっと普通に聞けんのか?」
〈べ、別に脅してないよ⁉〉
「いや、怖がっている相手に近付いて見下ろす様に聞いたら、自然と圧が掛かると思うんだな。しかも、砂糖を吐きそうな会話の後だったから、引き攣った笑みだったんだな」
そう言われたら、確かに相手からしたら怖かったかもしれない。
「ほら、もう行って良いから、ゆっくり休んでね」
「はっ、それでは失礼します」
シュネーに肩を叩かれて少しだけビクついてたけど、すぐに許しを得たドイさんは煙球を発動させて、ボフン――っと白い煙の中で消えていった。
「周りに何にも無いのに消えたんだな」
「流石は忍者だね」
でも周りに飛び出た様子もないから、きっと地面に潜ってるんだろうな。
「スノー、そんなに地面を見ないの。消えたって事で気にしちゃダメよ」
「あの……彼の事は許してやってください」
〈なんで僕が悪者みたいになってるのさ……はぁ、それより二人を呼んできて〉
もう色々と面倒だから、此処はズナミに頑張ってもらうしかない。
「すぐに呼んでまいります」
御凸を地面にぶつけるんじゃないかって勢いで頭を下げて、目の前から一瞬で消える勢いでミスユ団長とズナミを呼びに行った。
「とにかく、もうズナミにアタックを掛けてもらって。公演までには仲良くなってもらうしかないだろう。大取を任す二人だし……大丈夫、だよな?」
「知らないんだな、拙者に聞かないでほしいんだな」
「いっその事さ、ダメそうだったら全員参加でハチャメチャに打ち上げる?」
シュネーの発言に、皆がそれもアリだなっという顔をしていた。
「どうしてもダメそうなら、それでいこう」
〈ズナミの男らしさに期待しよう〉
「わかったんだな、それじゃあミスユ団長の方はスノー姫とシュネー妃に頼むんだな。拙者達はズナミの背中を押す感じで、アドバイスをしてみるんだな」
ガウが居るなら、まぁ安心だろう。
「おい、なんだその目は? 絶対に俺は戦力にならないとか思ってないか」
ティフォを見て考えていた事がバレてしまった。
「目を逸らすな! 肯定したようなもんじゃねぇかよ‼」
「まぁ話を聞く限りじゃあ、ティフォなんは戦力にならなさそうだしね~」
シュネーは何だかんだ、小鳥ちゃん達と仲が良いからな。チャットグループを作って会話をしている事もあるし、色々と樹一の昔話を聞いているんだろう。
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